こんにちは。

ハートフル歯科のドクターM

本山です。

今回は、「どちらの歯を治せばいいの?」をテーマに書いていきたいと思います。

臨床において、患歯の特定が難しい症例に遭遇することがあります。

そのような時は、術前におけるレントゲン検査や口腔内診査をしっかりと行い、診断部位を特定していく必要があると言えます。

症例です。

42才 女性

右下7番

主訴>

2年程前に他院で右下7番の根管治療を行い、セラミックの被せ物を入れる治療を受けた。昨年末に歯肉におできのようなものができて、違和感を感じるようになった。痛みはないが、顎の辺りにしこりがあるような感じを1週間前くらいに気づいた。

術前におけるレントゲン写真です。

右下6・7番には他院で装着したセラミッククラウンが装着されています。

右下7番は以前に右下8番の親知らずを抜歯した時に、むし歯が見つかり治療を行った。

右下6番は銀歯の被せ物をセラミックに変えるために治療したとのことでした。

右下一番奥の7番と奥から2番目の6番の間にsinus tractと呼ばれる瘻孔が認められます。

術前のパノラマレントゲン写真です。

赤い四角枠で囲まれた部分が対象歯ではないかと推測しています。

右下7番の近心根付近が怪しく感じます…

術前デンタル写真です。

パノラマレントゲン写真は口腔内全体を診ることができます。

デンタルレントゲン写真は対象部位をより精密に診ることができます。

やはり、右下7番の近心根がsinus tractの原因として怪しい感じがしますが、イマイチ患歯としてはっきりしないところもあります。右下6番の遠心根かもしれないからです。

そこで患歯の特定を行うために、sinus tractよりガッタパーチャを挿入して原因根の特定を試みることにしました。

すると、何とも言えない微妙な感じになりました(笑)

赤線が挿入されたガッタパーチャです。

患歯はどちらかな??

特定が少々難しいため、歯科用CTを撮影することにしました。

歯科用CTにおける矢状断像です。体軸または頭軸に対して平行で前後方向の断面を表します。

歯科用CTにおける横断像です。体軸または頭軸に直交した断面を表します。

歯科用CTにおける冠状断像です。頭部の矢状断面に直交した体軸方向の断面を表します。

3つの断面から右下7番が原因歯に最も近いと考えました。

右下6番の可能性もゼロではありませんが、右下7番根尖部に病変が認められることからも、レントゲンによる診断より一番患歯として濃厚と判断しました。

今回はここまでになります。

実際の根管治療の続き含めて、この続きは次回のブログに書かせていただきたいと思います。

今日も一日頑張りましょう!

“すべては患者様の笑顔のために”

今後ともよろしくお願い致します。

本山 直樹

医療法人社団徹心会ハートフル歯科