根管治療後の歯根破折
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、「根管治療後の歯根破折」について書いていきたいと思います。
まず最初に歯根破折が起きた時に起こり得る症状について説明する場合に、
神経がある場合の歯と神経がない場合の歯について考える必要があります。
神経がある歯が破折した場合には、初期症状として歯がしみたり、噛むとズキッと痛いという症状がでると言われています。さらに症状が進行すると何もしなくてもズキズキと痛んだりします。
神経がない歯が破折した場合には、破折部分から細菌が侵入して、歯肉が腫れたり、膿がでたりします。また噛むと違和感がでたりします。
歯根破折はある日突然起きます_:(´ཀ`」 ∠):
歯を失う原因には歯周病、むし歯、歯根破折という報告があります。歯周病や虫歯のリスクが低い、歯がしっかりと残っていて健康で何でも噛める方にとっては歯根破折という存在はどのように考えるべきでしょうか?定期的なメインテナンスの意識が高まっている昨今の歯科事情を鑑みても歯の破折や歯根の破折が抜歯に至る原因のトップになると思われます。
症例です。
53才 女性
右下7番
数日前から右下の奥歯に痛みと腫れを感じるとのことで急患にて来院されました。
この患者様は定期的なメインテナンスにも通院していただいている方でした。
術前における口腔内写真です。
右下7番にセラミッククラウンが装着されています。
拡大画像です。
近心側に破折線があり、排膿している状態です。歯根破折を起こしていることがよく分かります。カルテ記録を確認すると、クリアランスと呼ばれる上下の歯が入るスペースが少ないという記載がありました。今回、残念なことにセラミックの破折ではなく、歯根の破折という状況になってしまったことがとても悔やまれます。゚(゚´ω`゚)゚。
術前レントゲン写真です。
根管充填材で埋め尽くされているような状態です。つまり、充填材がたくさん入っているということは、再治療を何度か行っているために、それだけ根管の機械的拡大がされており、歯質が全体的に薄くなっているということが分かります。破折に対する抵抗性も低くなっていることが考えられます。また、3年前に遠心側にはMTAが充填されているカルテ記録がありました。
破折している近心側には骨吸収(黄色斜線部分)が認められます。歯根破折が起こり、その破折部分から細菌感染して骨吸収が生じたというわけです。これが排膿している原因として考えられます。
急患として来院された初回時には、現在の状況をマイクロスコープを使用して説明を行いました。選択肢としては抜歯してインプラント治療、もしくは厳しい状況かもしれませんが口腔外接着治療を提案しました。患者様は、今回の状況から治療方針を検討したいとのことでした。
次回は、治療計画として今後の打ち合わせを行う予定です。
お疲れ様でした♪( ´▽`)
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹