噛める入歯を作る!(上顎総入れ歯編)⑦~「コピーデンチャー」調子のいい入れ歯のスペアがほしい②~
こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 歯科医師 小坂井 竜也です
このシリーズでは上の総入れ歯の作っていく流れや、ポイントを中心にお話します!
前回は「3Dプリンターのコピーデンチャー」のお話をしました!
今回は、実際に3Dプリンターで作成していく方法をご紹介いたします。
流れが①入れ歯の床にCRのドットをつける②スキャナーで入れ歯を撮影③スキャンデータの確認④データを3Dプリンターに読み込ませる⑤造形開始⑥光照射⑦ノブ取り研磨
となります!
①入れ歯にドットを打つ
これは、口腔内スキャナーを利用して入れ歯の撮影をするため、本来認識しない歯のない部分を読み込むためです。これがないと、撮影データの連続性がなくなってしまい、歪んだものができてしまいます。
②撮影
スキャナーの機種によりますが、シロナ社のプライムスキャンが一番容易にスキャンできると体感しています。時点では、同社のオムニカムが、スキャンスプレーを使用することを前提として、作成可能です。
上顎の入れ歯は床の部分が多いので多少時間がかかりますが、5〜10分程度で完了します。
③データ読みこみ
撮影し、データを読み込ませたら、抜けがないか確認します。
④データを3Dプリンターに読み込ませる
撮影データをSTLという書式に変換し、ラピットシェープト3Dプリンターに読み込ませます。
あとは材料をセッティングして時間を待ちます。
⑤⑥造形開始、光照射
作成完了すると、このようなものが出来上がります!
あとは、光を全体的に当てて、固化を促進します!
⑦ノブ取り研磨
最後にこの柱の連続したものを取って研磨します
この際、撮影したドットも綺麗に取っていきます。
(造形前にデータ上でもドットは消せます)
これで完成です!
あとは、患者さんの口腔内に入れるだけです!
前々回の、入れ歯の完成後の適合を確認する行程を行いましたが、ほとんど違和感なく使用できました!
真っ白なもので作成しましたが、お口に入れると意外と目立たないかつ、加工等が容易なので、治療用のリハビリの入れ歯としても利用できそうです。
実際に食事で利用していただいても、問題なく使用できたそうです!
この、コピーデンチャーは一番大事なのは、噛み合わせの再現ができることなので、今の入れ歯を使用し続けて、顎が吸収したり入れ歯のはがすり減ったしても、コピーデンチャーがあれば、適合を合わせて良い状態の入れ歯を新しく作ることも可能です!
さて、コピーデンチャーが完成しました。
これで患者さんの治療は完了でしょうか?
これでも良いとは思います。
でも、一番大事な問題が未解決で残っているのです。
それは、「最初の入れ歯が噛めなかった理由」です!
言い換えれば「今の入れ歯が噛めている理由」ということです。
そんなことが、分かるのでしょうか?普通はわかりません。
しかし。分かる方法があるので次回説明していきます。
この方法に、コピーデンチャーが活躍してくれました!
次回は、患者さんの協力を経て、この理由を診断し、解明していきます。
すべては患者さんのために!