なるべく歯の神経(歯髄)を保存した実際のケース
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史です。
今回は、なるべく歯の神経(歯髄)を保存した実際のケースについて書きたいと思います。
以前書きました生活歯髄療法のブログです。⇒
https://heartful-konkan.com/blog/dr_inoue/16608
患者さんには治療写真やX-P写真などの資料を使用させて頂くことを十分に説明させて頂き同意を得て使用させて頂いております。
患者さんは右上の歯が食事する際に咬むと痛みがあり、冷たい物がしみることを主訴に来院されました。喫煙歴や全身疾患はありませんでした。なるべく歯の神経は残してほしいと希望されております。
術前に診査診断をしました。こちらが術前のX-P(レントゲン)写真です。
むし歯の影が歯髄腔(歯の神経のある部位)に近接しています。何もしなくても痛むなどの自覚症状はありませんでした。診査、診断(口腔内写真、X-P(レントゲン)写真、口腔内診査(問診、打診、温度診査、電気歯髄診断、動揺度、根尖部圧痛など))の結果、歯の神経(歯髄)を保存する方向で生活歯髄療法での治療計画を立てました。
患者さんに説明し同意を得ました。
自覚症状もなく、電気歯髄診断の結果も生活反応(歯の神経が正常な反応がある)を示していました。他の診査も問題なく生活歯髄療法を行うことにしました。
まず、部分麻酔を行います。
むし歯を除去していきます。
歯と歯の間にむし歯が大きく進行していました。
むし歯を除去して隔壁(歯の頭の部分がない場合にプラスチックで歯を補強します。)をつくります。
唾液などが入らないようにラバーダムをつけます。
灰色の部分がラバーダムをかけるためにむし歯でなくなった歯の頭の部分(歯冠)を補強した隔壁です。
感染歯質などを除去します。
歯髄からの出血が止まっているかを確認します。
止血が確認できたのでMTAセメントを入れます。
その後にコンポジットレジン(合成樹脂)で仮の蓋をします。
次回の来院時に症状がないことや、電気歯髄診断でも生活反応を示しました。
4年後のメインテナンス時のX-P写真です。
術前のX-P写真です。
生活歯髄療法が適応症の歯なのかを診査、診断がとても重要です。
すべての方、すべての歯に適応ではありません。
それぞれにメリット、デメリット、適応症や禁忌症などありますのでご不明な点は、担当の歯科医師にご相談ください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
井上貴史