みなさんこんにちはハートフル歯科総合グループの野田裕亮です。

 

今回から歯牙移植症例集2024①~術前編~をお送りします。

 

今回お送りする歯牙移植は保険の効かない自費歯牙移植となります。

 

前回のブログでも書きましたが、歯の移植の保険適応の条件として

・保存不可能とされている歯が抜かれていないこと

・移植するドナーの歯が親知らずか埋伏している使っていない歯であること

・使用する薬剤や製剤が保険適応のものであること

がありますが、

今回の患者さんは年齢は50代で十数年前に歯の欠損をした欠損部分への歯の移植です。

抜歯をした十数年前にブリッジか入れ歯かインプラントかの選択に迫られ、

人工物を埋め込むインプラントにどうしても抵抗があり今日に至っている患者さんでした。

 

隣在歯は虫歯もないきれいな歯のため、ブリッジを絶対にやりたくないとのことで

保険適応外とはなりますが「歯の移植」という治療法があることをお伝えしました。

 

今までどこの医院でも提案されたことのない治療法のため、

そんな治療があるのかと驚いていらっしゃいましたが、

今までブログにアップしているような症例写真やメリット・デメリットをお話した上で

是非とも歯牙移植をとのことでしたので保険適応外ではありますが、

歯の移植を行うこととなりました。

移植予定の場所はやはり十数年前に欠損した部分のため

骨はだいぶ薄く痩せてきています。

 

まず移植が可能な状況なのかCTにより

移植床の計測、そして移植ドナー候補の歯のサイズの計測が

必要となります。

 

今回は欠損部分の2本奥の親知らずがサイズ的にも歯根の形態的にも

良好という判断をし移植可能と診断しました。

 

診断したCTデータから移植歯のレプリカを作成します。

あとは患者さんのご年齢と欠損部分ということから再生療法製剤である

エムドゲインの使用の判断です。

 

私自身歯牙移植の手術を60件前後させていただいていますが、

60代後半の患者さんの移植を行ったりもしているので50代での歯牙移植に関しては

特別リスクとは考えておりません。しかしながら、欠損部分への移植となると話は違います。

保険の歯牙移植のように保存不可能歯を抜歯した穴が残っている場合、

移植床側には保存不可能歯に多少なりとも残っていた

歯周組織(歯根膜の残存)等もあるため、

移植歯・移植床の両側から歯周組織の再生が起こります。

 

しかし、欠損部分への移植の場合、移植床側からの再生は全くなく、

再生は移植歯側からのみとなるため再生療法の併用は必要と判断しました。

 

次回は手術編になります。

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科