こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します

この度、日本臨床歯科CADCAM学会で論文が掲載されました。

 

以前のブログはこちらから

論文が掲載されました⑦

歯科医師向けに書いた論文ですので何回かに分け患者さんにもわかりやすいように

解説をしています。

 

前回までで移植歯の植立まで行いました。

今回は移植歯の固定のお話をしていきます。

 

デジタル歯牙移植術~歯牙移植術をDX化する~

ハートフル総合歯科グループ 野田裕亮

 

移植歯の固定

 

移植歯の植立方向が決まったらそれがズレないように隣の歯へ固定を行います。

固定の期間は先生の考えもあり先生によっては2週間ほどの固定をしたら

外してしまうこともあります。私は固定期間は4週間と定め、術後4週間で固定除去を行なっています。

どの先生も固定機関で気をつけていることがあります。

それはアンキローシス(骨性癒着)です。

アンキローシスとは歯根膜が消失し歯と骨が直接癒着して結合してしまうことをいいます。

アンキローシスが起こってしまうと歯根膜が消失してしまうため

歯特有の「噛み応え」を感じなくなったり、将来矯正移動をできなくなってしまいます

それを目的として歯牙移植という治療があるのに・・・

長期間の強固な固定は移植歯のアンキローシスを招くと報告があり、

どの先生も移植後の固定は1ヶ月を超えない程度にしていることが多いと思います。

私はアンキローシスを誘発させてしまう可能性があるため、ワイヤーによる固定は避け、

縫合糸と接着性レジンによる固定を行なっています。

接着性レジンを用いた方法はMSBパックとよばれ、亡くられた眞坂信夫先生の術式を応用したものです。

接着性レジンの歯肉の炎症を引き起こしにくい特徴を活かし、

隣の歯への固定とともに創傷部の保護・感染防止を目的として使用しています。

この固定により4週間安静にしてもらっております。

固定期間の4週間はただ祈るのみです。

どんなに完璧な手術をしても最後は組織が感染なく治癒してくれるかどうかです

何かできることはないですか?

と患者さんから聞かれることがよくあります。

抗生物質はきちんとよく飲むこと、

硬いものは患部で噛まないこと、

気になって舌で触りやすいですが舌で強く押さないこと、

喫煙は避けること(できれば根管治療が終了するくらいまでは)

これだけ気をつけてもらい、あとはくっつくように祈りましょう

そう話しています。

 

今回はここまで。

 

次回は移植後の根管治療の話をします。

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科