歯牙移植症例集2023②〜手術編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回から歯牙移植症例集2023②ということで歯根未完成の親知らずを使った歯牙移植についてご紹介します。
今回は〜手術編〜
前回のブログはこちらからご覧ください
上下左右の奥歯が痛いという主訴で来院された21歳女性の患者さん。
ずっと前から痛みを抱えていたようでしたが、
歯医者さんへはもう何年も行っていなかったとのことでした。
患者さんご自身でリスクの見直しと共にセルフケアの充実が確認できたら治療に入ります。
今回のケースでは保存不可能な左下7番よりも移植する左下8番のサイズが小さいため、
待機移植を行います。
まず保存不可能歯の抜歯を行い、
3週間治癒を待ちます。
感染源もなくなり、歯肉も寄ってきているので歯牙移植へと移行します。
ここまでが前回までの流れです。
それでは移植を始めていきます。
まず移植床の形成のため、治癒し始めた歯肉をメスで切開します。
今回移植する移植歯は切開した先に埋伏しているため、
移植歯の場所の把握とその後の処置がスムーズに運ぶように
移植歯を半分脱臼させておきます。
埋伏歯を移植歯として使用する場合はこのように半分脱臼させてから
移植床の形成に移ることが多いです。
埋伏歯を使用する場合は難易度が高いので移植歯摘出中にボキッと折れてしまうこともありますので、
確実に移植歯として使えると判断できた時に移植床の形成を始めます。
移植歯を痛めないように慎重に周囲の歯槽骨を削り、
器具を掛け、
半分脱臼させます。
ここまできたら移植床を行います。
ドリルにより穴を開け
愛護的に移植歯を摘出したら
移植床へ試適します。
このとき移植歯の歯根先端は未分化な歯小嚢と呼ばれる組織があり、
これが歯根生長に関わる重要な場所のため、
触らないよう細心の注意を払いながら移植床へと入れていきます。
縫合固定を行ったら
医療用接着剤で隣在歯に固定を行って
移植手術終了です。
このまま4週間ほど安静にしてもらいます。
次回は〜固定除去編〜
移植後の経過をお話していきます。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・