「保存的治療」におけるエクストリュージョンとは
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回のシリーズは症例集ではなく、当院の「保存的治療」についてお話しさせていただいております。
というのも来年度の新入社員を含めたオリエンテーションの中でスタッフ向けに
私の行なっている治療について院内でお話しする機会をいただいたので、
今回から何回かに分けていつもブログをご覧いただいている方向けに内容を患者さん向けに
少し修正してお送りできればと思っております。
今までのブログを読んでいただいている方からすれば総集編と言うような形での
お話となりますので、重複するところもあるかと思います。
前回までは「保存的治療」における接着治療ついてお話しさせていただきましたが、
今回からは「保存的治療」におけるエクストリュージョンについてお話しさせていただきます。
それではまず、エクストリュージョンとはどんな治療なのか?
よく患者さんにお話しするのは「大きなかぶ」です。
そう童話の大きなかぶ
土に植わったかぶを数人で引っ張り抜くというお話。
実際に引っこ抜いてしまってはいけないのですが・・・。
土を歯茎、かぶを歯だとすると、歯茎に植わった歯質を獲得するために、
歯根歯質を挺出させるという動きはまさに童話通り。我ながらいい例えだと自画自賛しています。
ではなぜエクストリュージョンという治療が必要なのかについてお話をしていきます。
以前のブログでも他Dr.が紹介していましたが、
(以前のブログはこちらから https://heartful-konkan.com/blog/15744)
「痛くない≠歯を保存できる」
なのです。
どういうことかというと、通常フィニッシュラインから歯冠側寄り(要は歯肉より上)
に残存歯質があることで、脱離の防止や破折の防止ができるというフェルール効果が働くというもの。
つまりフェルール効果が期待できない歯は長期的予後が期待できないため、抜歯適応となる。
ということです。
このフェルール確保が歯の長期保存に必要だということをご理解いただければと思います。
そしてフェルール確保のための治療法として
- 歯冠長延長術(クラウンレングスニング)
- 外科的挺出法(意図的再植法)
- 矯正的挺出術(エクストリュージョン)
当然、本来歯根だった歯質をフェルール確保のために歯茎の上に持ってくる治療行為のため、
元の状態よりも歯根の長さは短くなるわけです。
短くなったことで噛み合わせによる歯根への負担は今まで以上に上がってしまうので、
術後に咬合力に耐えられる状態かまでしっかり診断する必要があります。
それではなぜ、3種類あるフェルール確保の治療法の中でエクストリュージョンをお勧めするのか?
次回はフェルール確保のための3種類の治療法のそれぞれの特徴と注意すべき点について
お話しさせていただきます。
フェルールがない。そのため歯が残せない。
そういった診断をされた方、当院でも少なくありません。
抜いてしまうその前に今一度本当に残せないのか診断をしてもらいましょう。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・