前回の続きからお話いたします。新型コロナワクチンに関するお話。

②副反応についてです。ワクチンを打った部位の腫れ、痛みがおよそ70‐80%の人に出現すると言われています。また、発熱が1‐15%、頭痛が25‐50%、だるさが40‐60%の人にみられることが、現時点で分かっています。ワクチン接種をしてから、1週間以内の副反応については、薬を飲まなくとも我慢できる範囲であれば、経過観察。症状が強ければ、受診してください。1週間から1ヶ月以内の間に何らかの症状(症状の内容は問いません)が出現した場合も、受診するようにしてください。何らかの疾患、またはワクチンによる未知の副反応の可能性があります。そして、1ヶ月以降に出現した何らかの症状については、今のところワクチンとの因果関係はないと言われています。

③最後にRNAワクチン(ファイザー社、モデルナ社)とウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ社)についてです。

まず、最初にウイルスの構造のお話です。ウイルスは下図のような構造をしています。

 

 

ウイルスを作るためのレシピとなるのは遺伝子であるRNAまたはDNAです(ウイルスの種類による)。

ウイルスは、トゲでひとの細胞にくっつき、遺伝子のみをヒト細胞に入れます。レシピを取り込んでしまったヒト細胞はウイルスのコピーを大量生産します。そして、新たに産生されたウイルスはヒト細胞を破壊して外へ飛び出し、つぎのヒト細胞を狙いにいきます。

このようにして人がウイルスに感染すると、体の中で抗体がつくられます。抗体は、トゲの形に合わせて作られ、次に同じウイルスが侵入すると、抗体がトゲに付着します。こうなるとウイルスはヒト細胞に取り付き、侵入することができなくなります。この状態を免疫が付いた状態といいます。

このようなことから、ウイルスのトゲさえあれば、免疫が付くことが分かります。

 

新型コロナワクチンの仕組みは、ウイルスのトゲをヒト細胞に作らせることにあります。

コロナウイルスの遺伝子であるRNAのトゲの情報の部分をヒト細胞に注射すると、ヒト細胞はレシピにしたがってトゲのみ作り出します。これによって抗体がつくられ、免疫がつく仕組みです。

RNAワクチン(ファイザー社、モデルナ社)は、mRNA(RNA情報のコピー)をそのままワクチンにしたものです。ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ社)は、コロナウイルスのトゲ情報のRNAを別の無害なウイルスのRNAに組み込んでおき、このトゲ情報を持ったウイルスをワクチンにしてヒト細胞に取り込ませることにより、免疫を得ることを期待しています。

体内に入ったmRNAは不安であり、数分~数日以内に分解されてしまいます。SNSなどで、「ウイルス遺伝子が自分の遺伝子に組み込まれてしまう」などの不安を目にしますが、そのようなことはあり得ませんので心配要りません。

 

現在ワクチンの確保が予定通りにいかなくなり、ワクチン接種を待っている方も多いかと思います。皆さんがワクチンを受けられる時は、安心して受けていただきたいと思っております。1日もはやく新型コロナウイルス感染症が終息することを祈っております。

 

 

医療法人社団徹心会ハートフル歯科