〜右上8番の親知らずを抜く事は、その手前の7番の歯を救うことにつながる話〜

皆さん、親知らずを大切に取っておいていませんか?

このレントゲンの方は、50代男性 「親知らずが、しみる。」という主訴でした。

見て下さい。緑灰色のラインにむし歯ができていました。それならしみますよね。という話だけでないんです。

どうして、むし歯になったのでしょうか?
ちょっと生えてきた親知らず、痛くも痒くもない。
仕事も忙しいし、歯医者にも行っていない。
しみるから、やっと来院してくれました。

物がいつもはさまっていた、そうです。

やっぱり、歯肉の奥にむし歯が、出来ていました。
治療すれば良い??
奥歯の歯肉の中のむし歯なんて、治療できるのかなぁ?

→そう、手や器具が入らないので、まともに治療をすることが出来ないんです。

ビックリしませんか?
削る事はできても、見えないので当てずっぽうになっちゃいます。また、出血や唾液で、見えないし、接着もしない状態です。

この方は、痛くないのに神経を取り、被せ物で方法を取りました。
神経を取らなくては、いけない。とほほ。
歯の神経はあった方が良いのですが、むし歯も放置できません。

 

次の方は、同じようにちょこっと親知らずが生えてきた、20代女性。

食べ物が挟まるのも同じ。
この方は、女性ならではのライフイベント=妊娠、出産中に妊娠性の歯肉炎や、親知らずの腫れを心配して抜歯を選択しました。

この女性の方は、抜歯する事で、手前の歯のむし歯を誘発予防し、親知らずの腫れなどを回避することができるでしょう。物が詰まった状態が、常態化すると、生ゴミを溜めているのと同じです。その生ゴミは、口臭の原因にもなり、口腔内の細菌によって必ずなにがしかの悪さをする事でしょう。

親知らずの辺りは、歯ブラシが届きにくく、不潔になりがちのゾーン。
問題好発部位!
「歯磨きしやすい環境を作ることの大切さ!」をお伝えしたいと思います。

抜歯をしたくないと思われる方にも、半分だけ生えてきた時には、やっぱり「抜く選択肢もアリ」だと思う症例でした。

2人の方の右上7番の歯の予後に大きな差ができています。

50代男性の方には、30才頃に親知らずを抜いておけばこのようなむし歯は、防げたのでないのかと思って仕方ありません。残念でした。

上顎の7番を救うために、親知らずの抜歯は、やむ得ないと思っています。

全ては、患者さんの歯を守るために・・・

下田孝義

医療法人社団徹心会ハートフル歯科