口腔内接着法(直接法)の症例① 診断編
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回から診断編、手術編、治療編とシリーズ化して「保存的治療」の中の接着治療である口腔内接着(直接法)についてお話させていただきます。
今回は診断編について。
歯根破折の原因は主に
・外傷によるもの
・神経が死んでしまっているための老朽化
・金属の土台によるもの
・ブリッジの土台に使用して起こるもの
・歯ぎしり、食いしばりによるもの など
です。接着治療は以前のブログでも書かせていただきましたが、歯が再生するわけではありませんので、ヒビは接着により繋げてもヒビとして残ります。そのため、接着治療後に再度ブリッジの土台として利用したり、歯ぎしり食いしばりが強い方にはあまりお勧めできる治療ではありません。接着治療を行う前に、歯の状態だけではなく全体的な歯列・噛み合わせの状態を加味しながら計画を立てていきます。
それでは一つの症例を例に診断・手術・治療と流れについてお話をしていきます。
噛むと痛いということで初診として来院された患者さんです。
以前、神経治療を行った歯をプラスチック治療にて埋めてもらっていたとのこと。
ここ最近食事時に噛むと痛みを感じるようになり、来院されました。お口の中の状態を見るとプラスチック治療とご自身の歯質の境目に薄い亀裂が確認されます。
まず根管治療を行い根管内にあるものをきれいに除去して破折の程度を確認します。
まだ古い根管充填材が根管に残っていますが、破折線がしっかり確認できます。
破折線に古い根管充填材(根管治療のお薬)やむし歯が残っていると、接着の阻害になってしまうため、破折線の部位をマイクロスコープを用いながらキレイにしていきます。
破折線の確認、その後の治療に関しては細かい作業を伴うため、マイクロスコープによる根管治療が必須といえるでしょう。
きれいになった状態がこちら
きれいになった状態で破折線から歯肉が陥入している様子もなく、破折片どうしが揺れている様子もないことから破折線を埋める口腔内接着法(直接法)の選択が適応となります。
このとき、歯周組織(周りの歯茎や骨)に感染が見られる場合、程度にもよりますが今後お話する口腔外接着法(再植法)が適応になる場合もありますので、きちんと診断する必要があります。
それでは次回、口腔内接着法(直接法)の手技についてお話いたします。
当院Youtubeでも公開しております。
動画の方も是非ご覧ください!
「歯が割れてしまった〜接着治療による破折歯の治療〜
「歯根破折で抜歯と宣告された方へ 接着治療・口腔内接着法(直接法)について解説します!」