自家歯牙移植の症例① 治療編 〜移植をしたその後〜
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回は前回までの診断編、手術編に続き治療編になります。
前回のブログはこちら
(診断編 https://heartful-konkan.com/blog/dr_motoyama/13329)
(手術編 https://heartful-konkan.com/blog/dr_motoyama/13335)
歯牙移植は手術をしたらおしまいではありません。
歯を失った場所に歯を植えたら、安定を図るため4週間ほど固定を行います。
その後に根管治療を行うのです。歯根膜に関しては前回のブログでも書きましたが20分以内に移植を完了させれば生着が期待できます。しかし歯髄(歯の神経)に関しては抜歯とともに壊死を起こしてしまうため、通常感染予防のために根管治療が必要になります。(※)
ドナー歯である親知らずは根管の形態が複雑であることが多いため、マイクロスコープを用いて根管治療を行います。
根管治療を行い3週から4週間、根管の中に消毒のお薬を入れてさらに治癒を待ちます。
どんなに根管の中の状態がキレイでも、消毒のお薬の効果により歯根の周りの治癒の妨げになるものを阻止し歯周組織の回復を高める役割もあるためあえてここは先に進めません。
移植治療直後から計算すると8週〜10週程度は根管充填を見送ります。(歯の動揺の程度、歯周組織の回復程度により期間は前後します)
歯周組織の回復が確認できれば根管充填を行います。
その後は通常の根管治療と同じように、土台を建てて被せ物の治療へと進んでいきます。
歯牙移植治療の流れの中で一番大事なこと、
それは歯牙移植をする手術自体よりしっかり機能できる歯に回復させること。
そのためには固定の期間が済んだら一刻も早く根管内に消毒のお薬を入れてあげることが大切です。
歯牙移植を行う患者さんには歯牙移植後の治療までセットで通院可能か必ずお話をさせていただくこととともに、治療の期間を1セットとしてお伝えしております。
途中で来院が途絶えてしまうと移植手術が成功しても予後が悪くなってしまう可能性もあります。なんとか残せた歯をしっかり予後よく維持していくためにも一緒に治療していきましょう。
※患者さんが10代などのケースで、ドナー歯が歯根未完成歯の場合、根尖孔の幅1mm以上あれば9割程度は歯髄治癒が期待できるため、歯根未完成の場合に限っては根管治療を行わないこともあります。詳しくはご相談させてください。