根管治療における抗生物質と消炎鎮痛剤について③-投薬の本質-
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は前回の続きです。
「抗生物質」をテーマに書いていきたいと思います。
抗生物質とは何でしょうか?
抗菌薬とも言いますが、その中でも微生物が作った化学物質を
抗生物質、抗生剤と言います。
ここからはまとめて、抗菌薬とさせていただきます。
抗菌薬は細菌の構造や細菌が増えていく仕組みの部分を邪魔して効果を発揮します。
例えば、代表的な抗菌薬であるペニシリンは細菌の細胞壁の合成を阻害します。
ヒトと細菌の大きな違いは細胞壁があるかどうかです。
ヒトの細胞には細胞壁がありません。
そのため、ペニシリンはヒトの細胞に影響を与えず、
細菌のみを攻撃することができます。
このように、抗菌薬は細菌の仕組みに関与します。
細菌以外の病原体(ウイルスや真菌など)が原因となる感染症には効果を期待できません。
今回もお薬の話で専門的な内容になっていますが、できるだけ分かりやすいように書いていきたいと思います。
当院でよく処方するサワシリンというお薬はペニシリン系の抗生物質で、
細菌などの細胞壁合成を阻害し増殖を抑制することにより、殺菌的な抗菌作用を示します。
通常、呼吸器感染症、皮膚感染症、耳鼻科感染症、尿路感染症、歯性感染症(歯科口腔感染症)など広い範囲の感染症の治療に使用されます。また、他の薬剤と組み合わせることにより胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の除菌に用いられると言われています。
サワシリンはあまり多くの菌には効かないことで常在菌を殺さないという優れた点があります。
幅広い菌に対して効いてしまう抗生物質では、この常在菌もまとめて殺してしまうため、
かえって免疫力を低下させてしまうという落とし穴があるからです。
このお話の続きは次回に続きます。
お楽しみに!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹