ヘミセクション（歯根分割抜去法）について
こんにちは。
いつもありがとうございます。
東京都 三鷹市 ハートフル歯科医院、武蔵野市 ハートフルデンタルクリニック、三鷹ハートフル小児歯科医院、三鷹ハートフル矯正歯科医院 歯科医師 井上貴史です。
今回はなるべく歯の根（歯根）を保存したケースについて書きたいと思います。
ヘミセクション（歯根分割抜去法）を行ったケースです。
ヘミセクションは歯根分割抜去法とも呼ばれます。主に上下顎の複根歯である奥歯（大臼歯部）において、歯周病が進行した状態（根分岐部病変など）や歯根破折、根の治療（根管治療）の予後がよくない場合（1根に限局した根尖病巣）に歯の頭の部分（歯冠部）の一部とあわせて状態のよくない歯の根（歯根）の１根あるいは2根を除去（抜根）する手術の総称です。一般的に上顎大臼歯の歯の根（歯根）の歯根分割抜去法をトライセクションと呼ばれます。
実際のヘミセクション（歯根分割抜去法）を行ったケースとなります。
患者さんには治療写真やレントゲン写真などの資料を使用させて頂くことを十分に説明させて頂き同意を得て使用させて頂いております。
患者さんの主訴は左下奥歯の根の治療をして被せ物をしたが腫れと違和感が変わらず来院されました。患者さんはなるべく歯を抜かないでほしいと希望されていました。
レントゲン写真から前から6番目の歯の近心根に限局した根尖病巣が確認されました。
術前に診査診断し、まず被せ物（補綴物）を除去して根管治療の説明をし同意を得て根管治療を行いました。
根管治療後症状は改善されず、近心根は保存が難しいと診断しヘミセクション（歯根分割抜去法）を提案しました。
近心根をヘミセクション（歯根分割抜去法）の治療計画を立て、患者さんに説明し同意を得て治療を行いました。
ヘミセクション（歯根分割抜去法）直後のレントゲン写真です。近心根抜根とともに根尖病巣を可能な限り取り除きました。
術後、仮歯において症状などを確認して最終的な被せ物（補綴物）をセットしました。
前から5番目の歯は治療の必要がない歯のため、歯を削って連結する被せ物（ブリッジ）は選択しませんでした。残した遠心根が破折など保存が難しい場合はデンタルインプラントによる治療を提案させて頂きました。被せ方を患者さんに説明し同意をえて治療を進めました。近心根を抜根しているため咬合力による遠心根の破折などの予防のため、夜間使用のマウスピースのナイトガードの使用をすすめました。
術後約2年です。症状は改善されましたが、経過が短いため今後も注意深く経過観察させて頂きます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
井上貴史
