こんにちは。

東京都三鷹市ハートフル歯科の本山です。

今回は根管治療の話題ではなく、
「歯がしみるについて」

新しいCAD-CAMの話を絡ませながら
書きたいと思います。

まずCAD-CAMとは、
computer aided design/computer aided manufacturing

コンピュータを利用し,設計・生産を一貫して行う技法のことを言います。
CADはコンピューターによる設計,
CAMはコンピュータによる製造の意味です。

下田先生がよく仰られています。

「デジタル化の波が必ず進んでいくと…」

私は根管治療だけではなく、実はセラミック治療も行っています。
根管治療後の被せ物についても、
何回かお話しさせていただいたと思います。

私も月に50ケース近くセラミック治療を

行っています!

ハートフル歯科には、Sironaのセレック

ヨシダのトロフィーという
2種類のCAD-CAMがあります。

私もハートフル歯科に勤務して

もうすぐ6年になりますが、
セラミックも一体どれだけの本数削ったのか

分かりません…(笑)

今回は最近、導入したばかりのトロフィーについてふれたいと思います。

トロフィーは現在、ハートフル歯科北口院で

稼働しています。

技工士の本田さんと一緒にトロフィーで

セラミックをデザインして
ミリング(ブロックを削ること)したものを
患者さんの口腔内にセットさせて

いただいています。

   
    トロフィーCAMです。
    ミリングマシーンです!

   

   

以前までセラミック治療を行った後に、
少数ですが痛みやしみるといった症状を訴えられる
患者さんがいらっしゃいました。

ハートフル歯科は基本担当医制ではないため、
他の先生の治療後に私が診ることもあります。

その中には症状が強くなってしまい、
神経治療にまでなってしまうこともありました。

むし歯が神経の近くまであったものは、
そのような症状も多少起こり得る

可能性がありますが、そうではない状態のものなのに症状が出ているのは、

「なぜなのだろう?」と日々考えさせられることがありました。

歯がしみるメカニズムは、
実はまだしっかりと解明されているわけでは

ありません。

しかし、有力な説としては「動水力学説」という

ものがあります。

動水力学説とは、歯の内部には液体で満たされた

細い管があります。
細い管の中に神経の細胞があり、

液体が流れを起こすことで
その細胞が刺激され痛みを感じるというものです。

例えば、0〜4℃に近い冷たい水が歯に

触れた場合に体温と同じ36℃位に保たれている

歯の内部の管の中の液体との温度差により、

歯の内部の液体に体積変化や
圧力変化を生じます。

その結果、液体の流れが生じます。

そのため、「冷たい」という刺激を感じるという

わけです。

甘いものではしみるが、塩辛い物ではしみない

というのを聞いたことがあります。

それは、なぜなのでしょうか?

お菓子などの中にある砂糖は

かなり高濃度でなければなりませんが、
塩辛い味は塩分が低濃度でも

感じることができます。

そのため、濃度の濃い甘い物の方が

浸透圧の関係で歯の内部の液体を動かしやすいと

いうわけなのです。

むし歯を除去する過程で歯を切削した場合、
象牙質を多量に切削することで、
象牙細管が露出して神経を刺激します

これを防ぐことはできないだろうか…

ある日、技工士の本田さんが私にすすめてくれた

ものがあります。

最近、私はこれを使用しています。

知覚過敏抑制材

“ディセンシタイザー”

   

分かりやすく言えば、しみ止めの薬です。

以下のような特徴があります。

・リン酸四カルシウムと無水リン酸水素カルシウム

 が主成分の知覚過敏抑制材です。

・硬化後はハイドロキシアパタイトとなるため
 生体親和性に優れています

・象牙細管の封鎖性に優れているのみならず、
 処置後の接着操作への影響も少ない材料です。

・水硬性の材料なので光照射不要です。

ディセンシタイザーを使用するようになり、
私の中では“しみる”というような症状は

なくなりました。

一つ症例をお見せします。

この患者さんは、左下第一大臼歯がしみるというのが主訴でした。
銀歯を外して、セラミックに変えることに

しました。
CAD-CAMは、トロフィーを使用することに

なりました。

   
        術前です。
    患歯には、大きな銀歯が入っていました。
    赤い丸印部分のところは

    隙間があいており、
    銀歯の不適な状態でした。

   
    トロフィーのCAD画面です。
    銀歯を除去した後の形成画面です。
    歯牙にはディセンシタイザーを

    塗布しました。

   
    CAD画面上でのデザイン終了後です。

   
        術後(set後)です。

医療に関しては、使用する器具や材料によって
診療レベルを大幅に上げてくれることがあります。

ハートフル歯科では、最新の器具や歯科材料に

アンテナを立てながら、その中から

自分たちでよく吟味して
使用するように心がけています。

“すべては患者様の笑顔のために”

今後ともよろしくお願い致します。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科