こんにちは。

東京都三鷹市ハートフル歯科の本山です。

前回のZEISS Forumの続きです。

ここからは、歯科の先生方の講演について
書きたいと思います。

2.井澤 常泰先生

「Endodontic Microsurgery
“臼歯部の外科的根管治療を成功させるには”」

テーマに講演して下さりました。

マイクロスコープは、
マイクロサージェリー(外科的根管治療)の適応範囲を広げてくれたと仰られていました。
どのようなことかと言いますと、
以前は前歯部での外科的根管治療が

多かったのですが、今では前歯部から大臼歯部まで

行えるようになったということなのです。

そして、CTが術前の診断力も大幅に

アップしてくれました。

       ”マイクロスコープ+CT”

   
    ハートフル歯科のCT画像です。
    右上第一大臼歯です。

   
    根の先に病変があります。
    歯根端切除術の適応可能かどうか

    解剖学的に診断します。

通常のレントゲンだけでは3次元的な

骨の厚みであったり、解剖学的構造(上顎洞など)の

複雑さは分かりません…

1992年、AAE(アメリカ歯内療法学会)の

サンフランシスコ大会で初めて

顕微鏡を使用したマイクロサージェリーの発表が
行われたそうです。

しかし、当時の顕微鏡の動きは制限がきつく、
動きが悪かったそうです。

大臼歯部は特にやりにくかったとのこと…

現在のマイクロスコープは、動きも良くなり
直接視る、直視を可能にしました。

MB2根管の見落とし、イスムスなど解決が難しい

大臼歯部は外科的根管治療が必要であると

仰られていました。

根管があかない、しかし根尖病変がある。
症状があるのであれば、
やはり外科的根管治療が必要だそうです。

ほとんどの根管治療において、
レッジが形成されやすく、
レッジは再治療の原因になりやすいと

言われています。

レッジというのは、本来の根管と異なる方向の切削により形成される窪みのことで、
湾曲根管において起こることが多いと

されています。
本来の根管に到達することを困難にするので、
術者はレッジを起こさないように
注意が必要であると仰られていました。

外科的根管治療を行う場合は、
直視が大事であり、なるべく水平になるように
ポジション二ングを設定することが

大切であるそうです。

やはり、舌側の根管はアプローチが

難しいそうです。

アプローチの仕方で難易度が変わります。

井澤先生もいろいろとアプローチの仕方を
熟慮されながら処置を試みているそうです。

また、上顎大臼歯の口蓋根の外科的根管治療は
難しいことが大いに予想されるので、
レッジやトランスポーテーションを起こさないように通法の根管治療を確実に行うことが

大事であると強く仰られていました。

3.木ノ本 喜史先生

「Eighteen years of experience in

 micro-dentistry -Progress and   

 harmony」

大阪の吹田市でご開業されているそうです。

修復エンド(根管治療)→マイクロDDTへと
ご自身の診療スタイルが変遷していったと

仰られていました。

木ノ本先生はマイクロスコープの使用経験が18年を超えたそうです。

DDTというのは、
ダブルドライバーテクニックの略で
メタルコアの除去方法です。

ハートフル歯科の野田先生も日本歯科大学の

生涯研修で先日、教えていただいたそうです・・・

メタルコアにスリットを入れて、
マイナスドライバーを差し込み、左右逆向きの回転を加えます。

コアの大きさや残存歯質量に関係なく、

応用可能とのことでした。

また、超音波スケーラーを使用した
ダブルバイブレーションテクニック(DBT)というのもあるそうです(笑)

スクリューポスト、ADポストに適用とのこと。
右手にエアスケーラー(注水あり)
左手に超音波(注水なし)を用いて行うそうです。

両方のテクニックともユニークな方法で

驚きでした・・・

4.石井 宏先生

「A Compilation of Endodontic Cases」

石井先生には、藤本研修会のエンドコースで

大変お世話になりました。
石井先生は、歯内療法専門医として

ご自身の記憶に強く残っている症例を
ケースプレゼンテーションとして講演して

下さりました。

その中でも非常に気になったのが、
“根尖孔外感染”というものでした。

石井先生が一番頭を悩ませたそうです・・・
歯根端切除術まで行ったのですが、
経過を追っても、病変の改善が見られず
再歯根端切除術を行ったそうです。
その際に、根尖にカビが生えているような

状態だったそうです。

はっきりとした原因が分からず、

大変苦労されたとのことでした。

但し、石井先生はこのようにも仰られていました。

「原因を除去すれば、体が勝手に治してくれる!」

「原因を常に考えることが大事である!」

当たり前に聞こえるこの言葉は、非常に胸の奥底に響きました。

久しぶりに石井先生のお話を聞くことが

できたことは今回のセミナーに参加できて、

とても良かったと思いました。
根管治療の第一線でご活躍されている

石井先生の講演は自分にとっても

非常に参考になりました。

貴重な御講演ありがとうございました。

“すべては患者様の笑顔のために”

今後ともよろしくお願い致します。

さらに、次回に続く・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科