嘔吐反射のある方の型取り 上の総入れ歯作成①
こんにちは!ハートフル総合歯科グループの小坂井竜也と申します。
今回は、総義歯の入れ歯作成及び嘔吐反射のある方の型取りのお話です。
まず、今回の患者さんですが、
古い上の総義歯の前歯が何度もと取れてしまうので、
作り直しを希望されています。
義歯の奥歯が低く前歯噛みになっており、前歯の歯肉もブヨブヨになっているいわゆる「フラビーガム」の状態になっています。
入れ歯の足場となる顎堤も少ないやや難しい症例になると考えられます。
しかし、このままだと上の入れ歯の突き上げが進み、もっと壊れたり、入れ歯が取れて食べられなくて困ってしまいます。下顎の残存歯にも当然影響がでる状態です。残っている歯は守らなくてはなりません。
なので噛み合わせの見直しも含めた新義歯の作成を行おうと思います。
まずは、口腔内の審査は終えてますので、作成のためのお口の型取りをします。
ただ一つ大きな問題があり、非常に嘔吐反射強い方なので、通法どおり型取りをしていくと
「ゲーッ」
と吐き出してしまい、型が取れず、入れ歯が作成できません。
総入れ歯の型取り方法は方法は大きく分けて
1.アルジネート等のアナログ印象(一般的なピンクの餅状の物質で型を取る)
2.コピーデンチャー作成(元々お持ちの入れ歯をコピー)
3.デジタル印象(CAD/CAMを使用して画像から型を取る)
があります。
3はハートフル歯科で一番力を入れている方法で、嘔吐反射も起こりません!
2は、今後のブログで説明していきますが元々お持ちの入れ歯はコピーでき、これを利用してお気に入りの入れ歯を作ることが可能です!口腔外で作るので絶対に嘔吐反射は起こりません。
しかし、今回は諸事情にてアナログ印象しか選択できず、嘔吐反射が一番起こりやすい方法になります。
しかし、入れ歯の型取りができなくては、何も始まりません!
ではどう対応するのでしょうか?
答えは、アナログ印象で嘔吐反射を防ぐための「ある方法」をしていくことで嘔吐反射をかなり軽減できます!
その方法は型取りの材料(アルジネート)の「固ねり、山盛り、水かけ」の概念です。
これは、私が昨年からセミナーに行き指導していただいている、土屋公義先生から教わった手法です。
①アルジネートを通常より水を少なめにねります。しっかり練れば耳たぶくらいの硬さになりま
②練ったものを山盛りに型取りのトレーにもります。
③持った型取り材を水をかけて均します。
これは盛り方がすくなめですね・・・
そして通法どうり型をとります。
この方法は、しっかり圧をかけて型取りでき、精度も非常に良い事が挙げられます。
そして、通法どうりの練り方だと、口腔内でダラーっとアルジネートが奥に流れてしますので、容易に嘔吐反射が起こります。
しかし、この「固ねり、山盛り、水かけ」方法だとアルジネートが後ろに流れないため嘔吐反射がかなり抑えられます!
精度が良く(特に総義歯)、嘔吐反射も防げるこの方法は非常に優秀です。
今回も嘔吐反射を最小限に防ぐことができ、スナップ印象もそれなりに取れたかと思います。
この型に石膏を盛って次回は噛み合わせの型取りとなりますので、また、ブログにてお話ししようと思います。
全ては患者さんのために!
小坂井 竜也