「エクストリュージョン」に向かない歯について
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回はハートフル歯科で行う保存的治療
・接着治療
・エクストリュージョン
・自家歯牙移植
のうち、「エクストリュージョン」の非適応症
つまり、こういう状態では歯を残すのが厳しいという項目をあげていきたいと思います。
当院では保存的治療を行う前に
・C Tを含めたレントゲンにより診査
・歯周ポケットの検査
・噛み合わせの診査
・マイクロスコープによる拡大視野での診査
・歯周病、虫歯による口腔内のリスク
以上5点を調べたのちに保存的治療が可能かを診断しております。
エクストリュージョンはフェルールの足りない歯に対して行う治療になります。
フェルールについては以前のブログをご覧ください
エクストリュージョンを一言で表すと
「大きなかぶ」
そう童話の大きなかぶ
埋まっている歯根を垂直的に引っ張り上げることで挺出をさせる治療法です。
そのため、真っ直ぐ引き上げられるかがポイントとなります。
レントゲン診査により湾曲した歯根でないか、また複根の歯の場合は引っ張る力が必要になるため、
隣にしっかりした固定源となる歯があるかがとても重要になります。
ここで隣在歯が無かったり、既に動揺してしまっているような固定源にできる歯が無ければ
エクストリュージョンはできません。
外科的挺出やクラウンレングスニングなど他の治療が適応になるかを診断することになります。
上のレントゲンは歯根長はしっかりありそうですが、奥歯に引っ張るための固定源がないため、
当院では外科的挺出やクラウンレングスニングによる治療計画を行います。
また歯周ポケットの状態も重要です。
歯周病が進んでしまい、骨に埋まっている歯根の量が少なければ引っ張ろうにも引っ張れません。
ハートフル歯科では歯根長7mmがボーダーラインとして診断をしております。
それ以上に短い歯根の場合、引っ張った後に胴長短足になるため、動揺が残ってしまい
その結果、咬合痛やさらなる歯根破折の原因となってしまいます。
上のレントゲンは土台ごと脱離をしてしまった患者さん
歯根長が短く、エクストリュージョンをすることは難しい。
また短い歯根長でなんとか残してもらっていたせいか左側の歯根は破折線が確認できる。
この状態では保存ができない。
噛み合わせも重要ですよね。
接着治療同様、元の状態に戻るわけではありません。
エクストリュージョンの場合、治療後は歯根の長さが短くなります。
噛み合わせが強い部分の場合、それにより歯根破折のリスクが増してしまいます。
適応にならないわけではないですが、隣在歯との連結も考慮に入れながら計画を立てる必要があります。
最後にマイクロスコープによる診断です。
ここで必要なのは破折があるかどうかということ。
フェルールがない歯の場合、被せ物や土台の脱離に伴って歯根破折を起こしていることが
多くみられます。
歯根破折を起こしてしまっている場合はエクストリュージョンではなく接着治療の適応になるかどうかの診断になります。
以上が簡単ではありますがエクストリュージョンの適応・非適応のボーダーラインです。
抜いてしまうその前にできる治療があるかもしれません。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・