歯牙移植症例集2023④〜手術編後編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回から歯牙移植症例集2023④というテーマで歯牙移植の症例をお伝えしております。
前回は手術編前編として保存不可能歯の抜歯と移植歯の脱臼までをお話しました。
前回のブログはこちらから
今回は手術編後編
移植床形成からの手術の流れについてお話していきます。
まずは前回のあらすじから
患者さんは左上の銀歯が硬いものを噛んだらグラグラしてきたとのことで
ご来院いただいた30代の男性。
銀歯は写真のように破折した歯根がズレて見えています。
まず麻酔を行い、保存不可能歯の抜歯します。
抜歯が終わったら、耳かきのような器具で膿の袋と共に炎症性の歯肉を綺麗に掻爬します。
抜歯窩が綺麗になったら、移植歯の脱臼にかかります。
なぜ先に移植歯を脱臼させるのか、あたりは前回お話ししておりますので、
前回のブログも併せてお読みください。
ここからが後編となります。
抜歯が済んだ左上の抜歯窩へ移植歯が入るように穴を掘っていきます。
骨に穴を開ける際はインプラント治療と一緒でインプラント用の回転ドリルによって骨削していきます。
高速回転のドリルを使用した場合、骨削時に出た発熱により骨に炎症を起こし、
インプラントと骨の結合に悪影響を及ぼすことを防ぐため、
生理食塩水を注水しながら骨削を行うことが推奨されています。
当院では、低速回転ドリルを使用しております。
それは、骨削時に出る発熱を抑えられるメリットだけでなく、
注水下で洗い流れてしまう自家骨を採取できるからです。
写真のように移植歯形成に低速回転ドリルを使用し
抜歯窩に残った自家骨をその都度採取しております。
今回の移植歯は2根に分かれた歯根のため、
角度を変えてもう一度ドリリングを行います。
2方向へのドリリングが終わったら全体的に均していきます。
大きめのバーで親知らずの形態をイメージしながら全体的に丸みを帯びた形に形態修正を行います。
ここまで移植床の形成が終わったら、脱臼した親知らずを抜去して移植床へ試適します。
今回のケースでは指摘時に一発でピッタリと収まったのでこれ以上の移植床形成は不要でしたが、
移植歯の入りが甘い場合、移植歯を当てながら何度か形成を繰り返します。
ここまできたらあとは移植するのみ。
ここまで長くなってしまったので移植するところは次回お話します。
次回は〜手術編後編プラスα〜
移植床へ親知らずを入れるところをお話します。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・