こんにちは。

ハートフル歯科のドクターM

本山です。

 

今回のテーマは、「接着治療におけるスーパーボンドの有用性」です。

当院における「接着治療」とは、

「接着治療」のパイオニアである眞坂信夫先生ご考案の破折歯に対しての保存的治療を参考にさせていただいております。

接着治療は、歯根破折(歯の根の部分に縦にひびが入ったり割れたりした状態)を起こした

場合に行う治療です。破折部分が細菌感染を引き起こす細菌の通り道になります。

その後、歯を支えている骨が溶けてなくなっていくことになります。

歯根破折=抜歯という診断がされることになるかと思いますが、現在では接着治療に対するアプローチも

深まりました。状態にもよりますが、歯根破折した歯牙を延命することが可能になってきました。

歯根破折における接着治療は、「破折線」をスーパーボンドと呼ばれる歯科材料を用いて封鎖することで、

細菌が侵入しない状態を作ることを目的に行います。

ここで、簡単に歯根破折の原因についても触れておきますね。

大きく分けて3つになります。

①噛み合わせの不調和

上手く噛めないような詰め物や被せ物が長期に渡り入っていた場合は、咬合が狂ってきてしまいます。

また、矯正治療が必要な受け口、顔面非対称のような顎の位置が上下、左右でずれているような場合には、

通常の咬合とは異なる噛み合わせの状態になるために、自分の咬合が原因で歯を割ってしまうことがあります。

そして、「片側」で噛むような癖のある方の場合は長期間において「反対側の歯」に様々な不具合が生じてしまいます。

これらによって破折を引き起こすことがあります。

②ブラキシズム

夜間に行われる噛み締めや、歯ぎしり、食いしばりなどを「ブラキシズム」と呼びます。

これらのうち「噛み締め」が歯根破折に直結すると考えられています。

また、常に上下の歯を接触させる現象をTCH(Tooth Contacting Habit)と呼びます。

歯の接触癖です。弱く接触していても20時間以上の長時間に渡れば、歯にとっては大きな負担になります。

③医原性誘引

むし歯の治療で装着したインレーと呼ばれる詰め物の形が歯を楔(くさび)になり、

歯と詰め物の境界部や特に辺縁部のあたりから歯が割れることもあります。

さらに健全な歯質を削り過ぎて、歯牙自体が弱くなることでも破折すると考えられています。

残存歯質量が少なくなれば、破折のリスクは高まります。

また、根管治療後に金属製の土台(ポスト、コア)を装着すれば、これらも楔(くさび)の役割をします。

歯牙が「たわむ」場合に金属の土台の先端に応力が集中して、歯根破折することも分かっています。

 

今回は接着治療を行うにあたり、「なぜ、この治療が必要なのか?」「歯根破折とは?」

そのような意味合いを強くした導入編としての内容になりました。

次回は、実際に使用する「スーパーボンド」についてまとめていきたいと思います。

 

今日も一日頑張りましょう!

 

“すべては患者様の笑顔のために”

 

今後ともよろしくお願い致します。

 

本山 直樹

医療法人社団徹心会ハートフル歯科