こんにちは。

ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書いております。

歯科医院で痛い場所を伝えたのに、歯科医師が隣の歯や反対側の歯まで調べ始めて、「先生、痛いのはそこではありません」と思った経験はありませんか?

実は、歯の痛みは、患者さんが指した歯と本当の原因歯が一致しないことがあります。

これは患者さんの感覚が間違っているわけではありません。歯の痛みには、脳が痛みの出どころを正確に特定しにくいという特徴があるからです。

原因歯を正しく当てられないことは珍しくありません。

歯に痛みがある患者さんを調べた研究では、自分で原因歯を正確に特定できた人は73.3%だったという報告があります。

言い換えると、約4人に1人は、痛みを感じている場所と実際の原因歯が一致しなかったことになります。

特に、歯の神経に強い炎症が起きている場合には、

「右側が痛いけれど、上か下か分からない」

「奥歯が全部痛いように感じる」

「昨日と今日で痛い場所が変わった」

「治療した歯の隣が痛くなった気がする」

このようなことが起こります。

なぜ脳は、痛い歯を間違えるのでしょうか?

 

歯から生じた痛みの情報は、神経を通って脳へ送られます。

ところが、複数の歯や顔の組織から送られる痛みの信号は、脳へ向かう途中で同じ中継地点に集まります。

例えるなら、何本もの細い道が途中で1本の大きな道路に合流するような状態です。大きな道路まで進んでしまうと、もともとどの細い道から来た車なのか分かりにくくなります。

痛みの信号でも同じようなことが起こり、脳が「この歯から来た痛みだろう」と判断した場所と、実際の原因歯がずれることがあります。

このように、原因とは異なる場所に感じる痛みを「関連痛」と呼びます。

 

隣の歯や上下の歯が痛く感じることもあります。

例えば、下の奥歯に強い歯髄炎が起きているのに、上の奥歯が痛いと感じることがあります。また、原因歯の隣にある健康な歯まで痛く感じる場合もあります。

さらに、歯のように感じる痛みの中には、噛むための筋肉、顎関節、上顎洞、神経の病気など、歯以外に原因があるものも含まれます。

 

歯が痛いからといって、必ずしもその歯の神経を取れば解決するとは限りません。

なぜ歯科医師は、痛い歯をすぐに削らないのでしょうか?

 

 

根管治療は、歯の内部にある神経を取り除く、元には戻せない治療です。

そのため、患者さんが指した歯だけを見て、すぐに神経を取ることはできません。本当にその歯が原因なのかを確認するため、隣の歯や上下の歯と反応を比較します。

主に確認するのは、次のような項目です。

・冷たいものや温かいものに対する反応

・電気歯髄診断による神経の反応

・歯を軽く叩いたときの痛み

・噛んだときの痛み

・歯ぐきや根の先を押したときの反応

・歯周ポケットや歯のヒビの有無

・レントゲンや必要に応じたCT画像

大切なのは、どれか一つの検査だけで決めないことです。

レントゲンに黒い影があるから、その歯が痛みの原因とは限りません。反対に、発症したばかりの歯髄炎では、強い痛みがあってもレントゲンに明らかな変化が現れないことがあります。

症状の経過と複数の検査結果が一致して、初めて原因歯を絞り込むことができます。

「痛い場所が分からない」ときに伝えてほしいこと

 

 

痛む歯を正確に指せなくても、問題ありません。

受診時には、場所を無理に決めるよりも、

・何もしなくても痛むのか

・冷たいものと温かいもののどちらで痛むのか

・刺激がなくなった後も痛みが続くのか

・噛んだときだけ痛むのか

・夜中に目が覚めるほど痛むのか

・痛みの場所が移動することがあるのか

・いつから、どのように痛みが始まったのか

これらを伝えていただくほうが、診断の大きな手がかりになります。

痛みが出た時刻や持続時間をスマートフォンに記録しておくのも有効です。

原因が分からないまま治療しないことも、大切な治療です

痛みが強いと、「とにかく早く治療してほしい」と思うのは当然です。

しかし、原因歯を確定できない状態で歯を削ったり神経を取ったりすると、本当の原因が別にあった場合、治療した歯は元に戻せません。それだけでなく、肝心の痛みも残ってしまいます。

必要に応じて検査を追加したり、症状の変化を確認したりするのは、治療を先延ばしにするためではありません。治療する歯を間違えないための重要な診断過程です。

ハートフル歯科では、患者さんが示した場所だけで判断せず、症状の経過、神経の反応、噛んだときの痛み、歯ぐきの状態、画像所見などを総合して原因を確認します。

「歯が痛いけれど、どの歯か分からない」

「治療したのに、別の場所が痛く感じる」

そのような場合も、無理に痛い歯を決めず、感じている症状をそのままお伝えください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

ご予約・お問い合わせはこちら  

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

初診予約・治療相談に関するお問い合わせはこちらから↓  

三鷹・東京で精密根管治療をお探しならハートフル歯科|無菌化で再発防止 

「すべては患者様の笑顔のために」  

                                           本山 直樹

 

 

 

 

 

 

医療法人社団徹心会ハートフル歯科