論文が掲載されました④
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
この度、日本臨床歯科C A D C A M学会で論文が掲載されました。
以前のブログはこちらから
何回かに分けて論文内容を患者さんにもわかりやすいように解説しております。
前回までのブログはこちらから
今回は従来法に比べたデジタル歯牙移植のメリットについて解説していきます。
デジタル歯牙移植術〜歯牙移植術をD X化する〜
ハートフル総合歯科グループ 野田裕亮
デジタル歯牙移植のメリットは
- C Tを治療の中心におき診断や術中の歯牙レプリカ・サージカルガイドの作成が可能
親知らずの携帯は複雑なものが多く2次元のレントゲンでは細かいところまでの診断を
することが難しく、移植手術当日になり難しいと判断されてしまうことも多くありました。
現在ではC Tにより3次元的に歯根の形態を把握することができるために、
事前にどの親知らずが移植適応となるのか診断することが容易になりました。
また、以前にもご紹介した歯牙レプリカやサージカルガイドもC Tのデータから
作成をするので、C Tは今やなくてはならない診断器具となっています。
- 歯牙レプリカを移植床試適に利用することで移植歯歯根膜の挫滅を防止する
歯牙移植の成功は「歯根膜」と言っても過言ではありません。歯根膜が移植後の歯周組
織の再生に働き、生着していきます。しかし、従来の歯牙移植では移植歯を出し入れ
することで移植床の確認を行なっていました。出し入れすることにより歯根表面が擦れ
れば、歯根表面にある歯根膜が傷つき結果として生着不良が起こってしまいます。
歯牙レプリカを使用することで歯根膜の挫滅を防ぐことができ結果として成功率を
高めることとなるでしょう。
- 移植歯の口腔外操作時間の短縮
従来法の場合、始めに移植歯の抜去したのちに移植床に試適しながら移植床の形成を行います。
その間移植歯はずっと口腔外に晒されたままとなります。
乾燥状態における歯根膜の生存率は18分を超えると顕著に低下していくとされています。
「鉄棒でぶつけて歯が抜けたら牛乳に歯を入れて歯医者に行きなさい」
と聞いたことはありませんか?これは抜けた歯の歯根膜を乾燥させないようにという
ことから考えられた救急時の対応です。
制限時間18分以内に移植を行うために移植歯の代わりに歯牙レプリカを使用し、
移植床の繊細な修正を行うことで、移植歯の抜歯は最後のステップに持ってくることができる。
歯牙レプリカ使用することで、移植歯の口腔外操作時間は数十秒〜数分で済ますことが可能となる。
その結果手術時間の短縮とともに移植歯の歯根膜のダメージ軽減が可能となる。
歯牙レプリカは『影武者』として歯牙移植手術時にとても有効な手段といえる。
いかがだったでしょうか?
歯牙レプリカを使用した歯牙移植は当院では自由診療となります。
しかし、従来の歯牙移植に比べ歯根膜のダメージを最小限に抑えた治療となるため、
成功率を下げないベストな選択肢だと考えております。
次回はデジタル歯牙移植の治療の流れについてお話していきます。
歯が保存できないと診断されたとき、歯牙移植という治療があることを知ってほしい。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・