こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

今回は歯牙移植の「制限時間」についてお話します。

「制限時間」とは・・・。

 

 

それはドナー歯を抜去してから受容床へ植え込むまでの時間のことです。

以前のブログでも歯牙移植の予後を左右されるキーワードとして「歯根膜」について書かせていただきました。

(以前のブログについてはこちらhttps://heartful-konkan.com/blog/dr_motoyama/13115

その「歯根膜」とは物を噛んだときにクッションの役割を果たし、「硬い」「痛い」などと感じる役目があるのと同時に、歯と歯槽骨(歯を支える骨)を結びつけ生着させる重要な役割があります。

 

(写真は年末放送されたNHK チョイス@病気になったとき より)

歯牙移植や意図的再植など一度歯を口腔外に抜去する場合、この歯根膜にダメージが加わります。

(意図的再植法とは https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/11942

抜歯時の損傷、血流の遮断、乾燥、受容床への試し入れ時出し入れにおける歯根膜の損傷・・・。

一般的に歯牙移植における「制限時間」、ドナー歯を口腔外で操作できる時間は歯根膜のダメージの観点から

20分と言われています。この時間は少なければ少ないほど高い成功率を維持できると言えるでしょう。

この「制限時間」が故、歯牙移植が一般的に普及しにくいのかも知れません。

 

それではこの「制限時間」を1分でも少ない時間でクリアするために必要なことは何か?

簡単なことですが抜いてから植え替えるまでの時間を少なくすればいいのです。

どういうことか?

従来の自家歯牙移植は

・保存不可能歯を抜いて抜いた穴をきれいにする

・ドナー歯を抜く

・受容床(抜いた穴)にドナー歯を当てがいながらサイズ調整をする

・ドナー歯を受容床に植える

・縫合する(必要に応じて隣在歯に接着剤で固定する)

大きく分けてこの5ステップです。しかし②の段階でドナー歯を抜いてしまえば、④までカウントダウンが始まってしまいます。しかし親知らずのレプリカをあらかじめ作っておくことで③を歯牙レプリカを使いながら行うことができます。

(歯牙レプリカとは https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/12000

(実際の歯牙レプリカの写真 https://heartful-konkan.com/blog/13142

つまり新しい治療手順として

・保存不可能歯を抜いて抜いた穴をきれいにする

・歯牙レプリカを用いて受容床をドナー歯のサイズに調整をする

・ドナー歯を抜いてそのまま受容床に植える

・縫合する(必要に応じて隣在歯に接着剤で固定する)

20分どころか1分以内に移植が完了します。

この方法ではさらにメリットがあります。それは受容床のサイズ調整の際にドナー歯を出し入れしなくて良いので歯根膜のダメージが最小限で済むことです。

以上のことから当院ではより安全により成功率の高い自家歯牙移植を行っております。

それでは実際の症例については次回からご紹介します。

1本でも多くの歯が残せるよう日々診療しております。ご不明な点がございましたら是非ご連絡ください。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科