こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

前回に引き続き、自家歯牙移植の成功率を1%でも上げるためポイントをご紹介していきます。

 

前回ご紹介した移植の成功率を1%でもあげるためポイントはこちら

・CT撮影による3次元的歯根形態の把握

・レシピエント側に病巣が疑われる場合は先に抜歯をし、治癒を待ってからの移植に切り替える

・サージカルガイドを用いることにより侵襲範囲を可及的に少なくする

・低速回転ドリルにより、周囲骨になるべく負荷をかけないようにドナー歯を入れるスペースを作る

・ドナー歯レプリカを作り移植手術時に使用することでドナー歯の生存率を高める

 

今回は下2つの項目について解説します。

(前回のブログはこちらから https://heartful-konkan.com/blog/13138 )

 

・低速回転ドリルにより、ドナー歯を入れるスペースを作ることについて

ドナー歯をレシピエント側に移植するためにほとんどのケースで骨削除が必要になります。インプラントでも移植でも多くの場合、骨を削る場合は専用のドリルで行いますが、骨に穴を形成するときには発熱を起こします。Eriksson(1984年報告)らによればインプラント埋入するときに形成時の温度が47℃以上になると骨に悪影響を及ぼし、その後に治癒の問題が生じると報告しています。そのため、発熱を抑える方法として低速回転ドリルの使用や形成時の生理食塩水での冷却が推奨されています。当院では低速回転ドリルの使用により、ドリリング時の発熱を抑え、また切削時に出た自家骨をドナー歯の隙間に埋めることにより移植歯の安定を図り、回復を早めております。また低速回転でのデメリットである、回転時のドリルの滑走も上記のサージカルガイドを併用することで回避することができると考えております。

 

・ドナー歯レプリカを作り移植手術時に使用することでドナー歯の生存率を高める

(上:抜去歯(本物)、下:歯牙レプリカ)

ドナー歯のレプリカを作ることは、ドナー歯の形態を把握するためだけではなく、実際に移植手術を行う際、レシピエント側に試適しながらドリリングを行うことでドナー歯の抜歯を一番最後の行程にもってくることができます。本来であればドナー歯を抜歯してレシピエント側に試適しながらドリリングを行うので歯根膜のダメージが抜歯してからの時間が長くなるごとに大きくなっていきます。ドナー歯の寸法と一致しているレプリカがあることで歯根膜のダメージを最小限に留めることができ、結果移植の成功率を高めることができると考えられます。

前回と今回で当院の設備だからできる自家歯牙移植についてご紹介させていただきました。

それでは次回、「自家歯牙移植は誰でもできるのか?」についてお話ししたいと思います。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科