01
影を見る前に、
「いつ」と「症状」。
影を見て、すぐに治療を決めることはしません。最初に確かめるのは、レントゲンではなく、患者さんの話です。

本山
いま撮ったのは、根管を詰めたその日の写真です。できものと痛みは、どうですか?

患者さん
治療を始めてから、できものは消えました。痛みもありません。
同じ大きさの影でも、治療したその日の歯と、10年たった歯とでは、意味がまったく違います。根管を詰めた日に影が残っているのは、むしろ自然なことです。溶けた骨は、まだ戻り始めていないのですから。
PLATE 01治療前 金色の点線の中が、根の先の影です。根の先を囲むように広がっています。
PLATE 02根管を詰めた日 根の先まで詰めていますが、影はまだ残っています。
02
影は、すぐには消えない。
根管治療で細菌の原因を取り除いても、溶けた骨が戻るには時間がかかります。治療から半年、1年とかけて少しずつ小さくなり、治りきるまでに数年かかることもあると報告されています。
つまり、治療後に撮ったレントゲンに影が残っていても、それだけで「治療が失敗した」とは言えません。
FIGURE 01影ができる仕組み(模式図) 根管の中の細菌が、根の先の骨を溶かします。レントゲンの黒い影は、骨が溶けた場所です。原因を取り除いても、骨はすぐには戻りません。
※模式図(図1・2)は、仕組みを分かりやすくするため、歯を実際の色に近づけて描いています。根管の詰め物は、実際に使う材料(ガッタパーチャ)の色です。
FIGURE 02影の変化(模式図) 原因が取り除かれていれば、影は時間をかけて小さくなり、骨が戻っていきます。
03
1枚ではなく、
比べて見る。
大切なのは、影の大きさそのものより、変化です。以前のレントゲンと比べて、影が大きくなっているのか、小さくなっているのか。前の写真がなければ、今日の写真を基準にして、時間をおいてもう一度撮ります。
この歯では、根管を詰めた日の写真を基準に、3か月後、6か月後と、できるだけ同じ角度で撮影して比べました。
PLATE 03根管を詰めた日 これを基準にします。
PLATE 043か月後 点線の円が小さくなっています。影は小さくなり始めています。
FIGURE 03比べて見る(模式図) 同じ角度で撮った2枚を並べると、影が治る方向か、悪くなる方向かが見えてきます。
※図3は、実際のレントゲンの見え方に合わせて白黒で描いています。レントゲンでは、詰め物は白く、骨が溶けた場所は黒く写ります。
あわせて、噛んだときの痛み、歯ぐきの腫れや膿の出口、歯ぐきの溝の深さ(根が割れていないか)も確かめます。この歯では、歯ぐきの溝は全周で2mmと浅く、根の割れを疑う所見はありませんでした。
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本山
いまは、治っている途中の可能性が高いと考えています。すぐにやり直すより、時間をおいて影の変化を確かめましょう。影が大きくなったり、腫れが出たりしたら、そのときにあらためて治療を考えます。

患者さん
影があるのに詰めていいのか、不安でした。理由が分かって、安心しました。
05
その後。
PLATE 056か月後 追加の治療は行っていません。根の先の影は、さらに小さくなっています。
3か月後、6か月後のレントゲンでは、追加の治療をしないまま、影は少しずつ小さくなっていました。できものの再発や痛みもありません。影が完全に消えるまでには、年単位の時間がかかることもあります。これからも、定期的に確認していきます。
影は、
1枚の写真ではなく、
時間で読む。
On Reflection
ただし、経過観察は「何もしない」ことではありません。影が大きくなる、症状が出るなど変化があれば、再治療や外科的な治療を考えます。大切なのは、治療を重ねる前に、その影が何を意味しているのかを確かめることです。
Case Record
この症例の記録
- 患者さん
- 30代・女性
- 部位
- 右上の前歯(中切歯)
- 行った診査
- デンタルX線実施
- 歯髄の検査(冷温・電気)実施
- 歯ぐきの溝の検査実施
- 治療内容
- 根管治療、その後は経過観察(再治療は行っていない)
- 通院回数
- 根管治療3回、経過の確認2回
3か月後・6か月後
- 費用
- 根管治療100,000円+税
処置料10,000円+税/回
- 主なリスク
- 経過観察中に影が大きくなったり、症状が出たりした場合は、再根管治療や外科的な治療が必要になることがあります。
会話は、実際のやりとりをもとに再構成しています。掲載にあたり、患者さんの同意を得ています。
At Heartfull
治療するかどうかを、
正しく決めるために。
治療を重ねることにも、歯への負担があります。三鷹ハートフル総合歯科グループでは、治療を決める前の診断を大切にしています。
- 01
丁寧な問診いつ、どんな治療を受けたかから、影の意味を考える
- 02
歯科用CT影の広がりや位置を、立体的に確かめる
- 03
マイクロスコープ治療が必要なときは、根管の中を拡大して原因を探す
- 04
根管内嫌気培養検査詰める前に、根管の中に細菌が残っていないかを培養して確かめる

NAOKI MOTOYAMA
ENDODONTIST
Consultation
治療を重ねる前に、
ご相談ください。
「影がある」と言われた。やり直しを勧められたけれど、本当に必要なのか分からない。治療を決める前に、いまの歯の状態を、一緒に整理しましょう。

本山 直樹根管治療(歯内療法)担当
- 2022年 日本歯内療法学会 歯内療法専門医 取得
- 日本大学松戸歯学部 歯内療法学講座 研究生
- 歯科医師臨床研修 指導医
Tel / ご相談・ご予約0422-66-9015タップで電話をかける
お電話で「本山先生の相談希望」とお伝えください。セカンドオピニオン(自費・60分・CT含む)は22,000円(税込)です。
本ページは実際の症例の紹介であり、同じ治療で同じ結果が得られることを示すものではありません。個々の歯の状態は、診察・検査を行わなければ判断できません。