エクストリュージョンの症例集2021①〜実践編〜
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回は前回までに引き続き、エクストリュージョン(歯根挺出術)についてお話させていただきます。
前回までのブログで
https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/19265
エクストリュージョンの準備編と題して型取りから設計までをお話させていただきました。
今回は実践編。いよいよ口腔内への取り付けです。
前回の矯正器具指示書作成から製作に2週間程お時間をいただき、矯正器具をセットしていきます。
まずは引っ張りたい歯根に、引っ張るための矯正用のフックを取り付けます。
硬化を確認したら次に隣接する歯に仮歯兼矯正用ワイヤーを取り付けます。
隣接する歯の状態によってどこに固定源を持ってくるかを考えなければならないため、
全て同じ設計になるわけではありませんが、矯正期間中、なるべく目立たない設計を目指して矯正器具を製作しております。
ここまでの工程が完了したらいよいよ矯正開始です。
矯正用のゴムを歯根についたフックに通し、隣接する歯に取り付けたワイヤーに結びます。
ワイヤーが固定源となり、ゴムの張力により歯根が浮き上がってくるという仕組みです。
以前のブログで「大きなかぶ」のお話をしたことがありますが、固定源(引っ張る人たち)がしっかりしていれば歯根(かぶ)はイメージ通り引っ張れるのです。
(以前ブログがこちら https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/13105 )
引っ張る期間は歯根の大きさや、固定源の強さによるのでまちまちですが、
およそ1ヶ月半〜2ヶ月程度を予定しています。
この期間注意して欲しい点は2点。
・矯正器具のところで硬いものを噛まないように
・歯ブラシを頑張りすぎないこと
この2点をお話しています。
まず
「矯正器具のところで硬いものを噛まないように」について。
隣接する歯に医療用接着剤で固定をしておりますが、設計上噛むための装置ではない為、
力が一点集中してかかってしまうと器具破損の原因になってしまいます。
カチカチ噛んだ時に噛み合わないように設計をしていますので、他の場所で噛んで破損することはないのですが、矯正部分で噛まないように注意が必要です。
次に
「歯ブラシを頑張りすぎないこと」について。
矯正器具は連結されていてワイヤー部分、仮歯の裏に物が詰まりやすくなります。
しかしデンタルフロスや歯間ブラシなどでグイグイ通そうとすると接着剤の剥離が起こり、
矯正器具破損や、仮歯の破損に繋がってしまう恐れがあります。
当院ではゴム交換の期間を3〜4週間で設定しているので、ゴム交換の際に詰まってしまう汚れについてはケアさせていただいております。
矯正部分のお自身でのケアについては、できる限りの歯ブラシと洗口剤でのケアをお勧めしております。
それでは次回、矯正開始後の経過についてお話させていただきます。
あなたの歯が1本でも多くの歯が残せますように・・・