歯牙移植症例集2022⑦〜根管治療編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回は今年7シリーズ目となる歯牙移植症例集となります。
前回から準備編、手術編、固定除去編、根管治療編、被せ物編と5ターンに分けて
お話させていただいております。
以前のブログやY O U T U B Eも一緒にご覧いただければ
歯牙移植のイメージもつきやすいと思います。
よければそちらもご覧ください。
ブログページ内のT A G タグ内の「Dr.野田」もしくは「歯牙移植」から
過去の投稿に飛ぶことができます。
今回は根管治療編として移植歯の根管治療についてお話します。
前回は左下移植部分の固定除去を行いました。
前回のブログはこちら
前回までの治療の流れがこちら
手術後の状態
縫合・固定を行った状態
4週間後の固定除去時の状態
ここから移植歯の根管治療へと移っていきます。
移植した歯はなぜ神経治療をしなければいけないのか?
なぜ4週間後に固定を除去して根管治療へ移行しているのか?
今回はそこについて触れたいと思います。
歯根完成歯を移植あるいは再植した場合、
手術後に歯髄が失活してしまう(死んでしまう)確率は極めて高いと言われております。
歯根未完成歯には移植後1〜13年間で96%歯髄の治癒が生じたのに対して、
歯根完成歯ではわずかに15%であるとの報告があります。(Andreasen)
そのため、根尖性歯周炎(根の病気)や炎症性歯根吸収(根の吸収)の継発が
移植歯の予後に関わる重要な要因となりうることから、
歯根完成歯に対して移植後に根管治療を行い、継発症を未然に防ぐことがセオリーとされているのです。
また、全ての歯根完成歯に移植手術後3〜4週で根管治療が行われた研究ではいずれも
80〜100%の高い成功率が記載されており、このタイミングでの根管治療が望ましいと
されております。
(自家移植歯の歯内療法 興地隆史、芳澤享子 日歯内療法 26(3):175〜183,2005参照)
当院でも固定除去後の根管治療時に動揺がまだある場合、
簡易的な固定に切り替えて、固定を継続することはありますが、
根管治療のタイミングに関してはこのタイミングで行うことを推奨しております。
移植手術の予定と共に根管治療の大まかなスケジュールも組んで計画の立案を行なって
おりますので、移植を希望の方は是非ご相談ください。
根管充填を行った状態がこちら
後はいよいよ被せていくだけです。
次回は被せ物編をお話します。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません。
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残りますように・・・