こんにちは。
いつもありがとうございます。

ハートフル総合歯科グループの歯科医師 井上貴史です。

今回はなるべく歯の根っこ(歯根)を残すために!

根管充填(垂直加圧充填法)の症例について書きたいと思います。

以前のブログに、歯の根の治療(根管治療、歯内療法)が終わった後で根管内(歯の根の中)を封鎖するために行う根管充填の垂直加圧充填のContinuous Wave Condensation Technique(CWCT)について書きました。こちらが前回のブログです⇒https://heartful-konkan.com/blog/dr_motoyama/13748

根管は、どの歯でも若干曲がっています。

側方加圧根充法で湾曲した根管に直線のメインポイント(最終的な充填材)を緻密に入れることは、困難(≒不可能)です。そこで根管をいくつかに分割して、その一部づつに加圧圧接する方法が開発されたのです。下記のように、湾曲していても、例えば3分割に区切っていくとそれぞれは、直線に近くなっていきます。直線ならうまく圧力がかかり、緻密に充填されていきます。また、積層しながら垂直加圧をしていくと、側枝があってもブロック毎にしっかり圧がかかり、その空間にもガッタパーチャが入っていきます。

前回のブログ(URL)の同じ絵を加工して掲載しております。
今回、垂直加圧法で根管充填したこの図では、前回充填できなかった、側枝への充填されている様子を再現しています。

ただ、こんなに曲がった根管は、直線型の治療器具でしっかり掃除できるのか、不安があります。
湾曲根は、根管治療が難しいと言われる理由です。器具は、直線。根管は、ぐねぐね曲がっている。その矛盾の中で根管治療は、行われます。
ぐねぐね曲がっている根管を切れ味鋭いリーマー(=ヤスリ上の細い針)でゴシゴシ擦り、同心円上に水色の様に拡大して神経の根管壁に付着した汚染物質を除去していきます。切れ味鋭いリーマーは、新品のものには、かないません。そこで自費の根管治療を行う歯科医院の多くは、いつも新しいリーマーを使用します。

 

今回は、ラバーダム、マイクロスコープ(=手術用顕微鏡)を応用し、40代女性左下第二小臼歯にCWT(垂直加圧根充)を行ったケースを紹介します。

ラバーダムを装着して、手術用顕微鏡にて根管内を確認します。今回の症例は歯根長(歯の根っこの長さ)も上の前歯のように長くなく、根尖(歯の根の先の部分)も開いていなく、歯根の内部、外部に吸収はありませんでした。そのため根管充填の垂直加圧充填のContinuous Wave Condensation Technique(CWCT)の適用でした。(自費治療になります。)

PENTORON JAPAN INC.の電熱式根管プラガと歯科根管材料電気加熱注入器の先端の選択・試適を行い根管に適合した先端やニードルを選択します。

根管長を測定した後、メインポイント(根管充填材)の選択・試適し根管内に挿入しました。

ここでレントゲン撮影をします。何度もレントゲン撮影しますが、このメインポイントの試適時が垂直加圧根充時の根管充填時の肝に当たります。

加熱した電熱式根管プラガ スーパーエンド アルファ2を根管内に挿入しメインポイントを切断しました。

このプラガーで根管先端部より5mm程度の部分で切断します。レントゲン確認後に逆算して挿入の深さを決定します。長さのコントロールが難しいので、常に全長何ミリ、いま何ミリ目に圧をかけているのか、加圧しすぎて、過剰にプラガーが押し進められていないか。部分麻酔(歯科用浸潤麻酔)を行いましたが、器具の先端は加熱してあるため、口唇や頬粘膜、舌、歯肉などの火傷にも、細心の注意を払います。

メインポイントを歯科用根管プラガ BL コンデンサーを使用して圧接しました。根管先端部に直接圧がかけられます。根管先端の根管壁に圧接可能になります。

(水平加圧充填では、糊材によって主に根管壁とメインポイントは、接着します。)

次に加熱している歯科根管材料電気加熱注入器を使用して根管内に根管充填材を少量填入しました。この際も火傷には細心の注意を払います。

歯科用根管プラガ BL コンデンサーを使用して圧接しました。2段階目の重点です。これを何度か繰り返して、マイクロスコープで充填具合を確認しながら積層で充填していきます。

根管充填完了です。

緻密に根管充填されているのが分かります。
X-P写真(レントゲン写真)を撮影して確認します。
元々神経のあった部分に緻密に充填剤が入っているのが分かると思います。

やや湾曲した根管に緻密にも根管充填をする方法が、垂直加圧根充法と言えるでしょう。

担当歯科医師の判断のもとにどちらの根管充填法を行うか選択します。ご不明な点は担当の歯科医師にご相談ください。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史

医療法人社団徹心会ハートフル歯科