「保存的治療」における接着治療とは③
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回のシリーズは症例集ではなく、当院の「保存的治療」についてお話しさせていただいております。
というのも来年度の新入社員を含めたオリエンテーションの中でスタッフ向けに
私の行なっている治療について院内でお話しする機会をいただいたので、
今回から何回かに分けていつもブログをご覧いただいている方向けに内容を
患者さん向けに少し修正してお送りできればと思っております。
今までのブログを読んでいただいている方からすれば総集編と言うような形での
お話となりますので、重複するところもあるかと思います。
前回から「接着治療」についてお話しさせていただいておりますが、
今回は「接着治療」の実際の症例についてお話しします。
以前掲載したブログからの症例となりますので、他の症例をご覧になりたい方は
今後「接着治療症例集」をU Pしていきたいと思っておりますので、
そちらをお待ちいただければ幸いです。
①口腔内接着法(直接法)
噛むと痛いと言うことで来院された患者さん。
過去に根管治療を行い、掘った穴をレジン修復(プラスチック)してもらったとのことです。
ここ最近食事時に噛むと痛みが走り、虫歯かなと思いご来院されたそうです。
症状のある歯を見てみると・・・
お分かりになりますでしょうか?
詰め物と歯質の間に亀裂が入っているのがわかると思います。
以前お話しした破折の分類のどこの程度まで亀裂が生じているのかを確認するため、
まずは古い根管充填材の除去からのスタートとなります。
まだ古い充填材が残っていますが、破折線が確認できますでしょうか?
骨縁下に及ぶ破折線のため、一般的には保存不可能と診断され、抜歯適応となるでしょう。
今回の場合は歯周組織へのダメージがレントゲン上で確認されないので、
接着治療の適応と考え、また歯根の分離もされていないことから口腔内接着法での治療を行うこととしました。
根管内の古い充填材、虫歯をマイクロスコープ下で綺麗にし、いよいよ接着治療へ移行します。
まずは処理剤により歯面の処理を行います。これを行うことで医療用接着剤の接着強度を上げます。
続いて乾燥
根管内が濡れていては、その部分まで接着剤を到達させることができません。
目視できる範囲で十分な乾燥を行います。
ここまで終わったらいよいよ接着治療です。
根管内に細い注射器を用いて少しずつ接着剤を流し込んでいきます。
医療用接着剤は流れがよく、破折部を埋めるように入っていってくれるので、これにより
ヒビを埋めることが可能です。
しかし接着剤だけでは強度に欠けるところがあるため、医療用接着剤の硬化前に
グラスファイバーの土台を織り交ぜて土台を植立していきます。
光照射によりグラスファイバーの土台が固まれば当日の治療は終了です。
その後、被せ物の処置へ進み接着治療(直接法)の工程は全て終了です。
イメージとしてはこのようにヒビのあったところも含めて中に充填してしまおう
というのが今回の直接法となります。
前回も述べましたが、直接法が適応になるためにはいくつかの条件が必要となりますので、
前回のブログも参考にしていただき、実際に適応になるのかはレントゲン診査や
マイクロスコープ下での診断が必要になると考えます。
診断してもらうのが必要だと考えます。
(前回のブログはこちら https://heartful-konkan.com/blog/21343)
次回は「接着治療」の口腔外接着(再植法)の実際の症例についてお話しさせていただきます。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・