歯牙移植を成功させる5つのポイント①
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回はどうのようにして可及的に手術範囲を小さくするのか、腫れを抑えることができるのか、成功率を高めることができるのかについてお話させていただきたいと思います。
自家歯牙移植の成功率を1%でも上げるため、次のことを実施しております。
・CT撮影による3次元的歯根形態の把握
・レシピエント側に病巣が疑われる場合は先に抜歯をし、治癒を待ってからの移植に切り替える
・サージカルガイドを用いることにより侵襲範囲を可及的に少なくする
・低速回転ドリルにより、周囲骨になるべく負荷をかけないようにドナー歯を入れるスペースを作る
・ドナー歯レプリカを作り移植手術時に使用することでドナー歯の生存率を高める
ことを行なっております。
それぞれについて解説します。
・CT撮影による3次元的歯根形態の把握について
歯は一つとして同じ形態はありません。ドナー歯がレシピエント側に合う形態でなければ移植を成功させることはできません。当院ではCT診断によりドナー歯の歯根形態、またレシピエント側の骨幅を3次元的に計測し、移植を適応可能な状態なのかを確認しています。
・レシピエント側に病巣が疑われる場合は先に抜歯をし、治癒を待ってから移植に切り替えることについて
以前はレシピエント側の保存不可能な歯の抜歯と同日にドナー歯の移植をしなければ保険適応にならないという決まりがありましたが、平成26年より先に抜歯を行なった場所へ移植が保険適応になりました。そのため、レシピエント側の回復を待ってからの処置が可能になったため、より移植の成功率を高めることができるようになりました。
・サージカルガイドを用いることにより侵襲範囲を可及的に少なくすることについて
移植を行う際、上記のように同じ歯根が同じ形態の歯は一つとしてありません。そのため、レシピエント歯よりもドナー歯が小さい歯である症例以外はすべてドナー歯のためにレシピエント側の骨を削らなければなりません。一般的にはドナー歯がしっかり入るほど骨を削らなければなりませんから、そのために穴が大きくなる傾向も多く見受けられます。しかしCTで3次元的にドナー歯に必要な幅を把握し、インプラントで使用するようなサージカルガイドを利用することで骨の切削量が可及的に少なく済み、移植歯の術後の安定性を著しく向上することが可能になります。
長くなってしまいましたね。
残りのポイントについては次回のブログにてお話します。