こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 小坂井 竜也です。

今回はこのままでは、歯がなくなってものが食べられなくなってしまうケースです。
このケースは非常に思い出深い症例で、わたしも一緒に成長することが出来たと感じます。

患者さんは上の前歯がぐらぐらで食事ができないという訴えでした。

このレントゲンからもわかるように、上の前歯は全て連結されたブリッジでした。

口の中を見てみると、上の前歯が全部グラグラしており、出血もかなりあり、厳しい状態でした。

残念ながら上の歯は全て抜く必要性があり、全てが保存不可能との診断になりました。

この方は前歯のブリッジ以外は上の歯がなく入れ歯を使用しておりました。

つまり、前歯がなくなってしまうと総入歯になるケースです。

と。なると教科書どうりに進めば、歯を抜いたあと治癒を待って、入れ歯の型取りをして、噛み合わせを決定して、仮の入れ歯で確認して、完成となるのですが、それではこの方は一体何ヶ月食事が出来ないのか!という問題がありとても現実的ではありません!

通常だと、前の入れ歯を修理していくことが多いのですが、今回は、U字の馬てい形をしており、総入れ歯の状態にはほど遠く加工もなかなか大変なケースです。一度加工したら元には戻せない一発勝負です。

そして、通常古い入れ歯を加工するためには、現在の口の中の型取りをするのが一番適合が良いと言われています。

しかし、ここで歯の型をとったらどうなるか。。。

そうです、かなりの確率で上の歯ごと型取り材と一緒に抜けてしまうのです。

だから安易に型取りはできません。

そこで私がとった策は「コピーデンチャー」でした!

詳しくはこちらをごらんください!

このコピーデンチャーを採用することによって

・大幅な入れ歯の改造が容易に可能
・適合がダメでも、旧義歯が残っているので何度でもやり直しが可能
・抜いたあと、歯茎の治りとともに修理調整していき、良い形、良い噛み合わせになったら、一から作るのではなく、またそのコピーをとって、そのまま新しい入れ歯にできる

と利点が多く、効率的で、患者さん、ドクターにも優しい治療となります。

そうして、旧義歯をコピーして改造した状態をお口に入れて見ました。

適合はバッチリで、真ん中の部分もピンクのプラスチックで前もって足しております。

そしてこのコピーデンチャーを入れた状態で型をとりました。
そしてらやはり・・・

 

 

一瞬で歯が全部抜けてしまいました・・・

このように前歯の状態が保存されて型が取れるので、コピーデンチャーを型に入れた状態で歯の色をしたプラスチックで前歯を作っていき、ピンクのプラスチックでコピーデンチャーと前歯をつなぎとめます。
そして、抜けてしまった歯肉を綺麗にして糸を縫って止血をし、治癒を促進します。

そして、完成したコピーデンチャーを口の中で合わせて、抜いて部分は痛くないようクッションを敷きました!
こうして、歯を抜いた当日に入れ歯が入る状態が構築できました!
あとは歯肉の治りとともに、コピーデンチャーを調整していき、状態が落ち着いたらそのコピーをとって完成へと向かいます!

こうして、数ヶ月かかったものの、一日も入れ歯がないことがなく、総義歯が完成しました!
コピーデンチャーの威力が存分に発揮できた症例でした。

そして、患者さんからは、感謝の言葉をいただき、さらに、落ち着いたらさらに良い入れ歯も作ってみたいというお言葉ももらえました!

頑張ったことが患者さんの健康によう影響を与えることができて、感謝の気持ちまでいただけるというのは。歯医者をしていて一番嬉しい瞬間ですね!

そして、さらなる良い入れ歯への期待には答えるのが義務であり喜びです!

次回のブログでは、この入れ歯をさらに進化する方法のお話しをしていきます。

全ては患者さんのために!

医療法人社団徹心会ハートフル歯科