三鷹ハートフル総合歯科グループCASE JOURNAL
再根管治療後の左下の奥歯のデンタルX線写真本山先生の症例日誌03
治療後のレントゲン。3本の根管が、根の先まで詰められています(手前の2本は重なって写っています)。

三鷹・再根管治療の症例

治療されていない
根管が、
2本あった。

本山 直樹歯内療法専門医 / 三鷹ハートフル総合歯科グループ

患者さん

根管治療をしたのに、噛むとずっと違和感があるんです。疲れると、歯ぐきも腫れて。何が悪いのか、分からなくて。

50代の女性です。左下の奥歯(第一大臼歯)は、以前に他の医院で根管治療を受け、土台と仮の歯が入っていました。治療のあとも、噛んだときの違和感が続き、疲れると歯ぐきが腫れる。原因を知りたいと、歯内療法の専門医を探して来院されました。

レントゲンに写っていない根管は、「ない」のではなく、まだ見つかっていないだけかもしれません。

This Case in 30 Seconds

相談
根管治療をした歯の、噛んだときの違和感と、ときどき起こる歯ぐきの腫れ
確かめた
治療されていない根管はないか。土台の下で、根に穴が開いていないか。
選んだ
見つかっていなかった2本の根管を探し出し、根の分かれ目の穴をMTAセメントでふさいで、すべての根管を治療し直す
いま
セラミックの被せ物で治療を終え、経過を確認しています
01

詰められていたのは、
1本だけだった。

下の奥歯には、ふつう根管が3本あります。奥側の根に1本(遠心根管)、手前側の根に2本(近心頬側根管・近心舌側根管)。レントゲンでは、奥側の根管には詰め物が入っていましたが、手前側の根には、詰め物が見当たりませんでした。

初診時のデンタルX線写真
PLATE 01初診時 左から3本目が治療した奥歯。奥側の根には詰め物がありますが、手前側の根にはありません。
02

土台が、
根の分かれ目まで届いていた。

もうひとつ、気になることがありました。歯の中の土台(コア)が、根の分かれ目(根分岐部)の近くまで深く入り込んでいたことです。この部分は歯の壁が薄く、根管を探す途中で削りすぎると、歯の外まで穴が開いてしまうことがあります(パーフォレーション)。

初診時のデンタルX線写真に解説を加えたもの
PLATE 02初診時(解説) 赤い線が、見つけられていない根管の位置。黄色い円の部分は、歯の壁が薄い根の分かれ目まで土台が入っており、穴が開いている可能性がありました。

歯科用CTでも、根管の数や位置、根の分かれ目の状態を立体的に確認しました。手前側の根にも、治療されていない根管があると考え、再根管治療を行うことにしました。

Under the Microscope

土台を外して、根管を探す。

ラバーダムで歯を唾液から守り、マイクロスコープで拡大しながら、樹脂の土台(レジンコア)を少しずつ取り除いていきました。見えていない根管の入り口は、土台の下や、歯の色のわずかな違いの中に隠れています。

レジンコアを除去している途中のマイクロスコープ像
Plate 03土台を外している途中奥側(D:遠心)には以前の詰め物が見えます。手前側(M:近心)は、まだ土台に覆われています。
近心の2本の根管口を発見したマイクロスコープ像
Plate 042本の根管の入り口を発見手前側の根に、近心頬側(MB)と近心舌側(ML)、2本の根管の入り口が見つかりました。
03

見つかったのは、
根管と、穴。

2本の根管を見つけたあと、根の分かれ目の部分から出血がありました。レントゲンで心配していたとおり、土台の下で、歯の外までつながる穴が開いていました。

根分岐部のパーフォレーションからの出血
PLATE 05根の分かれ目の穴 矢印の先、赤く見える部分が穴(根分岐部のパーフォレーション)。出血があります。
本山

手前の根に、治療されていない根管が2本ありました。それと、根の分かれ目に小さな穴があります。穴はふさげる大きさです。根管と一緒に治療していきましょう。

患者さん

原因が分かって、少しほっとしました。お願いします。

04

まず、根管をきれいにし、
出血を止める。

3本の根管を根の先まで清掃・消毒するあいだ、穴の部分も洗浄して、出血が止まるのを待ちました。穴をふさぐ前に、出血を止め、感染した汚れを取り除いておくことが、封鎖を確実にします。

根管拡大・洗浄後に穿孔部の止血を確認したマイクロスコープ像
PLATE 06根管拡大・洗浄後 3本の根管の入り口と、その間の穴(赤い円)。出血が止まっていることを確認しました。
05

穴を、MTAセメントでふさぐ。

根管の入り口を保護したうえで、穴をMTA系の材料(BIO-C®REPAIR)で封鎖しました。MTAセメントは、血や水分のある場所でも固まり、すき間なくふさげる材料です。根の分かれ目の穴は、歯ぐきの溝とつながりにくい位置にあり、早い段階でふさぐことができました。

MTA充填前のマイクロスコープ像
PLATE 07封鎖前 根管の入り口を保護し、穴だけをふさげる状態に
MTAセメントで穿孔部を封鎖したマイクロスコープ像
PLATE 08封鎖後 白い部分が、穴をふさいだMTAセメント

根管を詰める前には、根管の中から採ったサンプルを培養する検査(根管内嫌気培養検査)を行い、細菌が検出されないことを確かめてから詰めています。

根管内嫌気培養検査の試験管(3根管分)
PLATE 09根管内嫌気培養検査 3本の根管、それぞれの中から採ったサンプルを培養液に入れ、細菌が増えると液が濁ります。透明なままなら、細菌が検出されなかったことを示します。
06

3本の根管を、
根の先まで詰める。

見つかった2本を含む3本の根管を、根の先まで詰めました。根の分かれ目に見える白いかたまりが、穴をふさいだMTAセメントです。

治療後のレントゲンでは、詰め物が2本に見えます。でも、根管は3本あります。レントゲンは歯を横から写すため、手前側の根の2本の根管(近心頬側・近心舌側)は、前後に重なって1本のように写ります。治療前のレントゲンで手前側の根管が見つけにくかった理由のひとつも、ここにあります。

再根管治療後のデンタルX線写真
PLATE 10治療後 すべての根管が根の先まで詰められています。手前側の根の2本の根管は、前後に重なって1本に見えています(実際は3根管)。根の分かれ目の白い部分が、穴をふさいだMTAセメントです。
07

その後。

最後に、院内の歯科技工士と連携して、1日でセラミックの被せ物を作製し、装着しました(ワンデートリートメント)。仮の被せ物の期間をなくすことで、すき間から細菌が入り込む機会を減らします。

治療後も、根の先と、穴をふさいだ部分の状態を、定期的にレントゲンで確認していきます。

写っていない根管は、
ないのではなく、
見つかっていないだけ。

On Reflection

ただし、根管が見つかれば必ず治るわけではありません。根管が細く詰まっていて先まで届かないことや、穴の位置や大きさによってはふさげないこともあります。もう一度治療する前に、「なぜよくならないのか」を確かめる。この症例でいちばん大事だったのは、そこでした。

Case Record

この症例の記録

患者さん
50代・女性
部位
左下の奥歯(第一大臼歯)
行った診査
・処置
  • デンタルX線実施
  • 歯科用CT実施
  • ラバーダム実施
  • 根管内嫌気培養検査実施
  • マイクロスコープ実施
治療内容
自費の再根管治療(3根管)、根分岐部の穿孔の封鎖(MTA系材料)、セラミックの被せ物
通院回数
5回
根管治療4回/セラミックの被せ物(ワンデートリートメント)1回
費用
根管治療100,000円×3根管+税
MTA系材料による封鎖50,000円+税
セラミックの被せ物110,000円+税
処置料10,000円+税/回
主なリスク
封鎖した穴の周りに再び感染が起きたり、根の先の病気が残ったりした場合は、外科的な歯内療法や抜歯が必要になることがあります。

会話は、実際のやりとりをもとに再構成しています。掲載にあたり、患者さんの同意を得ています。

At Heartfull

見えない根管を、
見つけるために。

再根管治療は、見落としやわずかな細菌の取り残しで結果が変わります。三鷹ハートフル総合歯科グループでは、次の環境で診断と治療を行っています。

  • 01
    マイクロスコープ肉眼では見えない根管の入り口を、拡大して探す
  • 02
    歯科用CT根管の数や位置、穴の有無を立体的に確かめる
  • 03
    ラバーダム治療中の歯を唾液から守り、細菌の侵入を防ぐ
  • 04
    根管内嫌気培養検査詰める前に、根管の中に細菌が残っていないかを培養して確かめる
歯科医師 本山直樹

NAOKI MOTOYAMA
ENDODONTIST

Consultation

もう一度治療する前に、
ご相談ください。

根管治療をしたのに、よくならない。やり直しを勧められたけれど、何が原因なのか分からない。治療を決める前に、いまの歯の状態を、一緒に整理しましょう。

歯科医師 本山直樹

本山 直樹歯内療法専門医

  • 日本歯内療法学会 歯内療法専門医
  • 日本大学松戸歯学部 歯内療法学講座 研究生
  • 歯科医師臨床研修 指導医
Tel / ご相談・ご予約0422-66-9015タップで電話をかける

お電話で「本山先生の相談希望」とお伝えください。セカンドオピニオン(自費・60分・CT含む)は22,000円(税込)です。

本ページは実際の症例の紹介であり、同じ治療で同じ結果が得られることを示すものではありません。すべての歯を残せるわけではありません。個々の歯の状態は、診察・検査を行わなければ判断できません。

MITAKA HEARTFULL DENTAL GROUP — CASE JOURNAL No.03

医療法人社団徹心会ハートフル歯科