三鷹ハートフル総合歯科グループCASE JOURNAL
再根管治療と穿孔封鎖後の上の奥歯のデンタルX線写真本山先生の症例日誌02
治療後のレントゲン。穴は、ふさがれています。

三鷹・再根管治療の症例

根に穴が開いていた。
それでも、
歯を残すと決めた日。

本山 直樹歯内療法専門医 / 三鷹ハートフル総合歯科グループ

患者さん

定期検診で、歯ぐきにできものがあると言われて。その歯は、抜くしかないと言われました。本当に残せないんでしょうか。

60代の男性です。左上の奥歯(第一大臼歯)は、過去に他の医院で根管治療を受け、被せ物が入っていました。定期検診で、歯ぐきに膿の出口(サイナストラクト)があると指摘され、抜歯を勧められていました。

根に開いた穴は、抜歯の理由になりやすい。でも、穴の位置と大きさ次第では、ふさげることがあります。

This Case in 30 Seconds

相談
定期検診で歯ぐきの膿の出口を指摘され、抜歯を勧められた
確かめた
根の先の病気の広がり。根の穴(穿孔)と、壊れた根の先の状態。ふさげるか。
選んだ
穴と壊れた根の先をMTA系の材料でふさぎ、すべての根管を治療し直して、歯を残す
いま
サイナストラクトは治療中に消え、6か月後まで症状はありません
01

詰め物は、根の先まで届いていなかった。

レントゲンでは、以前の根管治療の詰め物が、根の先まで届いていないように見えました。上の奥歯は根管が3〜4本あり、形も複雑です。根の先の周りには、病気を示す影(根尖病変)がありました。

初診時のデンタルX線写真
PLATE 01初診時 被せ物の入った上の奥歯。根管の詰め物が、根の先まで届いていません。
02

CTで、立体的に見る。

上の奥歯は、根が重なって写るため、レントゲン1枚では分からないことが多くあります。歯科用CTで、根の形や根の先の状態、すぐ上にある上顎洞(鼻の横の空洞)との関係を確かめました。根の先の周りには、骨が溶けた病変が広がっていました。

歯科用CTの断面
PLATE 02CT 歯と根の先、上顎洞との位置関係を確認
歯科用CTの断面
PLATE 03CT 別の方向からの断面

Under the Microscope

被せ物を外して、見えたもの。

ラバーダムで歯を唾液から守り、マイクロスコープで拡大して歯の中を確かめました。根管の入り口の近くに、以前の治療で開いたと考えられる穴(パーフォレーション)がありました。

マイクロスコープで見た歯の内部。穿孔の位置
Plate 04マイクロスコープ像赤い点がMB根管、青がDB根管、緑がP根管の入り口。矢印の先、赤く見える部分が穴(偶発的穿孔)です。
MTA系の材料で穴をふさいだ状態のマイクロスコープ像
Plate 05MTA系の材料で封鎖したあと白い部分が、穴と根管の入り口をふさいだMTA系の材料です。
03

壊れていたのは、
穴と、根の先。

この歯には、残すうえで難しい問題が2つありました。ひとつは、根管の入り口近くに開いた穴。もうひとつは、以前の治療で根の先の形が壊れ、詰め物を止める「壁」がなくなっていたことです。どちらも、普通に詰め直すだけでは、すき間から細菌が入り込みます。

04

それでも、
ふさげると考えた。

穴が歯ぐきの近くで大きく開いていたり、長く感染が続いて周りの骨が失われていたりすると、ふさいでも残すのは難しくなります。この歯の穴は、大きさが小さく、位置も歯ぐきから離れていたため、ふさげると判断しました。

本山

穴も、根の先も、ふさげる可能性があります。ただ、絶対に残せるとは言えません。それも含めて、一緒に決めましょう。

患者さん

残せる可能性があるなら、お願いします。

05

穴と根の先をふさぎ、
根の中をやり直す。

すべての根管を根の先まで清掃・消毒したうえで、穴と、壊れた根の先を、MTA系の材料で封鎖しました。根の先に「壁」がない場合も、MTA系の材料で栓をするようにふさぐことで、詰め物を止めることができます(アピカルプラグ)。血や水分のある場所でも固まり、すき間なくふさげる材料だからこそできる処置です。

06

詰める前に、
細菌が残っていないかを確かめる。

根管の中をきれいにしたつもりでも、細菌が残っていれば、病気は再び起こります。目で見ても、マイクロスコープで拡大しても、細菌は見えません。

そこで、根管を詰める前に、根管の中から採ったサンプルを培養し、空気を嫌う細菌(嫌気性菌)が増えてこないかを調べました。培養の結果、細菌は検出されず、根管の中が無菌に近い状態になったことを確かめてから、詰めています。

根管内嫌気培養検査の試験管
PLATE 06根管内嫌気培養検査 根管の中から採ったサンプルを培養液に入れ、細菌が増えると液が濁ります。透明なままなら、細菌が検出されなかったことを示します。
再根管治療と穿孔封鎖後のデンタルX線写真
PLATE 07治療後 すべての根管が根の先まで詰め直されています。根管の入り口付近と根の先の白いかたまりが、穴と根の先をふさいだMTA系の材料です。
07

その後。

歯ぐきの膿の出口(サイナストラクト)は、治療の途中で消えました。治療後1か月、3か月、6か月で経過を確認し、痛みや腫れなどの症状は出ていません。現在は、定期メンテナンスでチェックを続けています。

根に開いた穴は、
歯を抜く理由の
すべてではない。

On Reflection

ただし、すべての穴や壊れた根の先をふさげるわけではありません。穴の位置や大きさ、周りの骨の状態によっては、抜歯がよい選択になることもあります。抜くか、残すか。その前に、「なぜ抜歯なのか」を確かめる。この症例でいちばん大事だったのは、そこでした。

Case Record

この症例の記録

患者さん
60代・男性
部位
左上の奥歯(第一大臼歯)
行った診査
・処置
  • デンタルX線実施
  • 歯科用CT実施
  • ラバーダム実施
  • 根管内嫌気培養検査実施
  • マイクロスコープ実施
治療内容
自費の再根管治療(3根管)、穿孔部と根尖部の封鎖(MTA系材料)、セラミックの被せ物
通院回数
5回
根管治療4回/セラミックの被せ物(ワンデートリートメント)1回
費用
根管治療100,000円×3根管+税
MTA系材料による封鎖50,000円+税
セラミックの被せ物110,000円+税
処置料10,000円+税/回
主なリスク
封鎖した穴の周りに再び感染が起きたり、根の先の病気が残ったりした場合は、外科的な歯内療法や抜歯が必要になることがあります。

会話は、実際のやりとりをもとに再構成しています。掲載にあたり、患者さんの同意を得ています。

At Heartfull

歯を残せるかどうかは、
診断と治療の精度で変わる。

再根管治療は、わずかな細菌の取り残しやすき間で結果が変わります。三鷹ハートフル総合歯科グループでは、次の環境で診断と治療を行っています。

  • 01
    歯科用CT影の広がりや穴の位置を、立体的に確かめる
  • 02
    マイクロスコープ根管の中を拡大し、見えない部分を残さない
  • 03
    ラバーダム治療中の歯を唾液から守り、細菌の侵入を防ぐ
  • 04
    根管内嫌気培養検査詰める前に、根管の中に細菌が残っていないかを培養して確かめる
歯科医師 本山直樹

NAOKI MOTOYAMA
ENDODONTIST

Consultation

抜く前に、
一度、ご相談ください。

「抜くしかない」と言われた。本当に抜くしかないのか、分からない。治療を決める前に、いまの歯の状態を、一緒に整理しましょう。

歯科医師 本山直樹

本山 直樹歯内療法専門医

  • 日本歯内療法学会 歯内療法専門医
  • 日本大学松戸歯学部 歯内療法学講座 研究生
  • 歯科医師臨床研修 指導医
Tel / ご相談・ご予約0422-66-9015タップで電話をかける

お電話で「本山先生の相談希望」とお伝えください。セカンドオピニオン(自費・60分・CT含む)は22,000円(税込)です。

本ページは実際の症例の紹介であり、同じ治療で同じ結果が得られることを示すものではありません。すべての歯を残せるわけではありません。個々の歯の状態は、診察・検査を行わなければ判断できません。

MITAKA HEARTFULL DENTAL GROUP — CASE JOURNAL No.02

医療法人社団徹心会ハートフル歯科