保険歯牙移植とは②
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回から保険歯牙移植についてお話しております。
前回は保険と自費で移植床(移植予定地)の条件の違いをお話しました。
自費歯牙移植では移植床の骨造成を含めた移植のプランが立てられるが、
保険治療の場合は既存骨へどれが入れられるかという考えの元プランを立てていきます。
詳しくは前回のブログをご覧ください。
今回は移植手術の流れについての違いをお話していきます。
ここで以前掲載したブログをご覧ください。
このブログで当院における保険歯牙移植(以下従来法)と自費歯牙移植(以下レプリカ法)の
イラスト動画を載せさせていただいていますが、
従来法の場合、抜歯した移植歯を移植床に試適しながら移植歯がぴったり入る穴を形成していきます。
当然一発でピッタリ入ることは少ないので何度も何度も出し入れをしながら微調整を行っていきます。
ここで移植歯の生着について考えてみましょう。
移植歯の歯根表面に付着している歯根膜という組織が再生していく際に、
移植床の骨表面とくっついていきます。
要は移植の予後を左右するのは歯根膜ということになります。
従来法の歯牙移植の場合、移植床の形成の時にこの歯根膜に負担がかかってしまうのです。
何度も出し入れすることにより歯根膜が挫滅してしまい、歯根膜が剥離してしまいます。
また、口腔外操作時間も移植の予後を左右します。
乾燥状態における歯根膜の生着率は18分を超えると急激に低下すると言われています。(※)
(※)月星 光博:シリーズ MIに基づく歯科臨床 Vol.04 自家歯牙移植 〈増刷新版〉.
クインテッセンス出版 東京 2014 より引用
そのためできるだけ移植歯の口腔外操作時間を減らすためには
どれだけ綿密にC Tによる診断ができるかによります。
今でこそ歯科用C Tの診断が当たり前になってきている時代ですが、
C Tがない時代歯牙移植をされてきた先生方は診断にとても苦労されてきたことでしょう。
デジタルによる歯科治療の発展はこういったところにも良い影響をもたらしています。
昔に比べて事前診断がつきやすくなったことから、歯牙移植という治療も増えていくことでしょう。
次回は従来法の歯牙移植と比較したレプリカ法の治療についてお話していきます。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・