歯牙移植症例集2022④〜固定除去編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回から今年4シリーズ目となる歯牙移植症例集をお話させていただいています。
いつものように準備編、手術編、固定除去編、根管治療編、被せ物編と5ターンに分けて
お話させていただければと思います。
以前のブログやY O U T U B Eも一緒にご覧いただければ
歯牙移植のイメージもつきやすいと思います。
よければそちらもご覧ください。
前回は移植手術を行い、固定するところまで行いました。
以前のブログはこちらから
歯牙移植症例集2022④〜準備編〜
歯牙移植症例集2022④〜手術編〜
他多数
今回は固定除去編
地味な内容に思えますが、この期間は一番患者さんが気をつけてほしいところです。
それではここまでの流れを見ていきましょう
初診来院時の状態がこちら
保存不可能歯の抜歯を行ったところ
左上の親知らずを抜いて移植床に試適し
上の歯に噛み合わないように頭を落とし縫合
そして医療用接着剤によりギブスのように固定
ここまでが前回行ったことです。
この状態で4週間固定を行いますが、この期間何を待っているかというと
移植歯の歯根についている歯根膜という組織が移植床に生着するのを待っています。
そのため移植歯に負荷をかけたくない為、移植をした側でお食事をしたり、過度なブラッシングや補助清掃器具(歯間ブラシやデンタルフロス)を与えないように指導しております。
医療用接着剤で固定をしている中は磨きづらいですが、
消毒時にこちらでケアをしたり、固定除去をしてからケアを徹底してもらえば
問題はありません。
また、上顎の移植を行う際に上顎洞に近い場所への手術を行なった場合は、
鼻を強くかんだり、耳抜きをしたり、気圧の変化(飛行機や潜水、登山等)などに
注意が必要です。
少しの気圧の変化でも、それにより炎症や出血が起こる場合があります。
それにより痛みを感じることもあります。
特に出張等で長時間のフライトが必要な場合は担当医にご相談ください。
話は戻りますがこれが術後1週間後の状態
歯肉も綺麗なピンク色をしているのがわかります。
ここまで来ればご自宅のケアも固定の上から行っていいですよと
こちらからお声かけしています。
あと3週間、移植側で積極的にものを噛まないように気をつけてもらいながら
過ごしてもらいます。
固定除去した状態
医療用接着剤を除去するのに多少の出血はありますが、炎症による出血はありません。
揺れもだいぶ落ち着いてきた様子。
この状態であれば次の根管治療へと移行できます。
次回は根管治療編として移植後の根管治療の流れについてお話します。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません。
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残りますように・・・