原因歯から離れた部位(隣在歯)に膿の袋ができた②
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、前回からのブログの続きです。
<術前レントゲン写真>
左上6番は根管治療途中であり、3根管確認できます。
しかし、3根管に対して根尖に病変のような不透過像らしきものはハッキリと確認はできず…
但し、左上6番の根管治療途中ということ、
sinus tractが位置的に根尖付近にあるということで先入観から左上6番の根管治療を開始しました。
これ、今思えば一番ダメなやつなんですよね。
2回程、根管治療を行い根尖まで3根管全て穿通しました。
でも、消えないんですよ。
sinus tractが…
見落としているMB2(近心頬側第2根管)の根管があるのかと思い、
必死でマイクロスコープを覗いて探しましたが、、、ありませんでした(泣)
子どもが大好きな名探偵コナンにお願いするしかないのか…
そんな現実逃避を一瞬しながら、ふと我に返ります。
もしかしたら、
最初のスタートが間違っているのでは!!
原因歯は左上6番ではなく、別の歯の可能性も否定できないのでは…
よし、もう一度最初からやり直してみよう!
原病巣を確認するためにレントゲン写真を追加して撮影することにしました。
すなわち、ガッ タパーチャポイントを瘻孔内に挿入したままでレントゲン写真の撮影を行いました。
すると、どうでしょう!
な、な、なんとー!!
ガッタパーチャポイントは隣在歯の左上5番を指しているではないですかー!
キター♪───O(≧∇≦)O────♪
どういうことだろう??
もう一度、左上5番のレントゲン写真を確認してみましょう!
おお、よーく見返してみると左上5番の銀歯の下に神経近接しているむし歯があるではないですか…
この後、左上5番の根管治療を開始したところ、例のものが消失しました♪( ´▽`)
ただ、残念なことに患者様はお仕事の都合で転勤となりまして、
今後の治療継続困難となりましたが、大変喜んでいただきまして
私からは治療経過を含めて説明を行い、治療継続を転勤先の他院へお願いするようにお伝えしました。
まとめです。
今回の症例は、
適切な治療を開始したにもかかわらず、瘻孔の閉鎖が起こらないものでした。
そして、それは不完全な術前診査による誤った診断が原因であり、
そのため、予期せぬ部位へ開口した瘻孔に対しての処置が遅れてしまいました。
ここまで長文になってしまい、失礼致します。
考察と見解を次の③のブログに書きたいと思いますので、
ご興味のある方は是非参考までによろしくお願い致します。
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹