ヘミセクション(歯根分割抜去法)の症例
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回はなるべく歯を抜かないためにヘミセクション(歯根分割抜去法)の実際の症例について書きたいと思います。
以前書かせて頂きましたヘミセクションの治療の流れを書いたブログです。→https://heartful-konkan.com/?p=16072&preview=true
以前書かせて頂きましたヘミセクションの他の症例です。↓
今回は実際行った症例です。
30代、女性です。
右下の奥歯の根の治療(根管治療)をしても違和感と歯肉の腫れがひかないことを主訴に来院されました。
治療前に右下奥歯の口腔内写真やレントゲン写真(X線写真)など検査を行いました。
まず、こちらが右下の口腔内写真です。
右下の第一大臼歯の歯肉が腫れています(点線)。
この腫れが違和感の原因の可能性が高いと思われます。
違和感と腫れている感じが続いていると訴えておりました。
まずは根管治療が必要と診断して治療を開始しました。
根管治療後に経過観察をしていましたが、違和感は軽減されましたが右下の第一大臼歯の歯肉の腫れは改善されませんでした。
根尖病巣が大きくなるべく歯を残すためにヘミセクションの治療を患者さんに提案し説明し同意を得ました。
近心根(右上の黒い点線)をヘミセクション(歯根分割抜去法)を行いました。
実際の治療の写真は出血があるため割愛させて頂きます。
ヘミセクション時に遠心根(黄色い線)を傷つけないように細心の注意を払って歯根を分割します。
ここで、遠心根にひびを入れてしまうと遠心根も保存が難しくなります。
歯根を分割後に近心根(上のイラストの黒い根尖病巣がある根)を抜きます。
その後、根の先の病巣(根尖病巣)を除去します。
抜いた根の歯肉が落ち着いたら被せ物を入れます。
術前と術後の口腔内写真です。
主訴である左下の奥歯の歯肉の違和感と腫れは改善されました。
今後も注意深く経過観察をしていきたいと思います。
すべての方、すべての歯のこの治療が適応ではありませんが、なるべく歯を残すためにこれからも精進していきたいと思います。
ご興味のある方は、担当歯科医師、スタッフまでご相談いただけました幸いです。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史