樋状根MTA
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、
前回の「樋状根」の話からの続きになります。
症例です。
51才女性 右下7番
上記患者様は、
右下の奥歯が過去に何度か腫れたことがあり、また咬合痛を訴え来院。
右下7番において、マイクロスコープより根分岐中央部にパーフォレーションを認めました。
パーフォレーションとは偶発的穿孔であり、
歯の根の部分に穴を開けてしまうことです。
切削器具などで歯を削っている時やリーマーやファイルなどで
根管治療中に誤って起こしてしまうケースが多いと言われています。
症状としては、
パーフォレーションにより開いた穴から根の外に細菌が侵入し、歯周ポケットと繋がってしまったりすると、
根尖病変がある時と同じ症状が現れます。
(叩くとひびく、根尖部付近を押さえると痛い、脈に合わせたような痛み、持続的な痛み)が出たり、
歯周病と同じ症状(歯肉から血や膿が出る、腫れる)になり、再治療が困難になります。
また、治療歯は「樋状根」と言われる下顎7番によく出現する根管でした。
根が分かれておらず、癒合して神経の管がCの形をしている特殊で複雑な形状をした根管であり、
その根管内の汚れも痛みなどの原因であると診断しました。
アジア人に多く、約30%くらいの出現率と言われており、特別に異常というわけではありません。
しかし、根管内の形状が複雑で治療の難易度が上がる傾向にあるため、
マイクロスコープを使用することで根管の形をしっかりと把握し、
隠れた細菌や汚れを隅々まで清掃、消毒したところ症状が無くなり、痛みも消えました。
そこでパーフォレーション部と樋状根の根尖孔の封鎖をMTAセメントを用いて行いました。
根管治療後は、セラミックの歯を装着して長期間安定した状態で過ごされています。
現在メインテナンスにて経過観察中です。
最後にパーフォレーションの原因としては、
むし歯が深いことや医原性であることが示唆されます。
「慎重」にマイクロスコープを使用して根管を観察します。
そして、
「丁寧」に根管治療を行います。
これらのことの積み重ねにより、
「安全」な治療を的確に遂行することができると言えるのではないでしょうか?
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹