次世代の歯の再生医療「象牙質再生治療」とは?

こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書いております。
「歯を残す」治療の最前線では、いま“象牙質を再生する”という新しい試みが進んでいます。
再生した歯髄をしっかり守り、歯そのものの寿命を延ばす──
今回は、そんな次世代の再生医療についてお話しします。


皆さんは、「象牙質(ぞうげしつ)」という言葉を聞いたことがありますか?
象牙質とは、歯の内側で神経(=歯髄)を守る大切な層のことです。外側のエナメル質より少し柔らかく、弾力性があるため、歯の“しなやかな強さ”を支えています。
実は、象牙質に関して、一度失われても条件が整えば再生できるのです。
そして、その原理を応用したのが、今注目されている「象牙質再生治療」です。

■ 治療のしくみ

象牙質再生治療は、歯髄再生治療と密接に関係しています。
まず、歯髄再生に使う歯髄幹細胞を採取するために、不要になった歯(例えば、親知らず)を抜歯します。
これら抜いた歯を適切な大きさに粉砕・加工し、再生する歯髄細胞と一緒に移植します。
すると再生した歯髄の表面で、その歯の粉砕物が新しい象牙質として形成され、しっかりとした「膜」のような構造を作り出します。
これらの膜が、再生された神経を守りながら、歯全体の強度を高めてくれるのです。



■歯髄再生治療との併用で、より強く・長く歯を守る

象牙質再生治療は、歯髄再生治療と同時に行うことができます。
両方を併用することで、再生した歯髄が象牙質にしっかり包み込まれ、次のような多くのメリットが得られます。
• 歯の強度が向上し、破折を防ぐ
• 虫歯や歯髄炎の再発リスクを低減
• 再生した歯髄を堅固な象牙質で保護
• 細菌の侵入を防ぎ、歯の寿命を延ばす
つまり、「再生した神経をよりしっかり守る」象牙質再生治療は、まさに歯髄再生の“仕上げ”となる工程なのです。


■ 開発と実用化の背景

この先進的な治療法は、エア・ウォーター・アエラスバイオ株式会社とRD歯科クリニックの共同研究によって開発されました。
2023年3月に特定認定再生医療等委員会の承認を受け、同年4月には厚生労働省にも正式に受理。
そして同年6月より、全国でも限られた歯科医院のみで実用化が始まっています。
当院「ハートフル歯科」でも、本年度すでに登録を済ませ、治療体制を整えております。

■ まとめ:歯を“生きたまま”残すための再生医療

象牙質再生治療は、再生した歯髄を守り、歯そのものの寿命を延ばすための治療です。
「歯を削って詰める」時代から、「自分の歯を再生して守る」時代へ。
その転換点にあるのが、この次世代の再生医療といえるでしょう。
歯をできる限り残したい方、将来の歯の健康を真剣に考える方に、ぜひ知っていただきたい治療です。

ハートフル歯科では、象牙質・歯髄再生に関するご相談を随時受け付けています。
再生医療に関心のある方は、まずはお気軽にご相談下さい。
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「すべては患者様の笑顔のために」

本山 直樹

医療法人社団徹心会ハートフル歯科