細菌検査で見える世界② ─根管内嫌気培養検査の意義と無菌化治療─
こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書いております。
「見えない“無菌”を見える化する ― 細菌検査で差が出る根管治療」
「根管治療に細菌検査なんて必要なの?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、歯の内部で起こっていることを客観的に“数値”や“結果”で確認することは、無菌化根管治療を実践する上でとても大切なのです。
【根管内嫌気培養検査とは?】
根管治療では、歯の内部から細菌を取り除くことが目的です。そのために行う検査のひとつが、根管内嫌気培養検査です。
具体的には、
・治療中の根管内からサンプル(根管内容物や洗浄後の残渣)を採取
→滅菌ペーパーポイントを根管内に挿入
・嫌気性菌(酸素を嫌う細菌)を中心に培養して、増殖の有無を確認
→培養器にて5日間培養、保管
・細菌の存在や種類を評価
以上のような流れで行います。
【なぜ嫌気性菌に注目するのか?】
根管内は酸素が届きにくい環境です。そのため、嫌気性菌が繁殖しやすく、炎症や再発の大きな原因になることが分かっています。
特に「Prevotella」「Fusobacterium」「Porphyromonas」といった嫌気性菌は、根尖病変の形成に深く関与すると報告されています。つまり、嫌気性菌の存在を確認することは、治療の成否に直結するのです。
【無菌化根管治療との関わり】
細菌検査を行うことで、治療がどこまで無菌化に近づけているかを客観的に確認できるのが最大の意義です。
1.治療初期:細菌が多数検出されることが多い
2.消毒・清掃を重ねる:菌数が減少していく
3.根管充填直前:細菌検査で菌が検出されなければ、無菌化に近づけた証拠
このプロセスを確認することで、再発リスクの低い治療が実現できるの
です。
【患者さんへのメリット】
細菌検査を行うと、治療に少し時間や手間はかかります。しかし、その分「なぜ通院が必要なのか」「どの段階で治療が終わるのか」を、医師と患者さんが同じデータをもとに共有できるという大きな利点があります。
言い換えると、「感覚的に治った気がする」ではなく、科学的な裏付けによって治療を完了できると言えます。
【まとめ】
無菌化根管治療の目的は「細菌を残さないこと」です。その達成度を確認する上で、細菌検査と呼ばれる根管内嫌気培養検査は非常に意義のある検査です。
実際の臨床現場では必ずしも一般的ではありませんが、歯を長く守るためには、このような科学的なアプローチが欠かせないと考えています。
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「すべては患者様の笑顔のために」
本山 直樹