こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書い
ております。
今回のテーマは、「破折ファイル除去における診断と意思決定」です。
ファイル破折における意思決定について、考慮すべき重要事項となるポイントが2つあります。
それは除去の必要性と難易度です。破折ファイル除去においては、除去する際に破折ファイルの根
管内における場所によってリスクが高くなる可能性があります。
つまり、破折器具の根尖孔外への押し出し、穿孔、歯質削除量過多などです。
また、それらに伴う歯根破折も考えなければなりません…
根管治療時における偶発症や不快症状などは、必ず事前に伝えて同意を得ておくことが望ましい
でしょう。歯科医療開始時にはインフォームドコンセントの徹底がとても大事ですよね♪( ´θ`)

47才 女性
#14【左上6番(上顎左側第一大臼歯)】
<主訴>
左上6番において、他院で根管治療していた。
治療時は、痛みがあったり治ったりの繰り返しであったが、一旦根管充填まで終了した。
ところが、しばらくして再び痛みが出るようになったため、セカンドオピニオンを求めて
当院を受診。

根管治療の難易度が上がり、治療を困難にさせるものとして石灰化根管のように根尖まで穿通で
きないことで清掃困難になる場合と根管内に破折ファイルのような折れた器具が邪魔して治療用器
具が届かずに清掃困難になる場合が挙げられます。

術前デンタルX線写真です。
左上6番において、MB根管(近心頬側根管)の湾曲した根尖部付近に破折ファイルらしきものが
認められます。

<診断名(Diagnosis)>
・歯髄の状態【Pulp Dx】:
Previously treated(既根管治療歯)
臨床診断分類で当該歯は以前に歯内療法処置されており、根管は貼薬材やその他様々な根管充填
材にて充填されている。
・根尖歯周組織の状態【Periapical Dx】:
Symptomatic apical periodontitis(症候性根尖性歯周炎)
通常は根尖周囲組織の炎症であり、伵合、打診、触診に痛みを伴う臨床症状を呈し、根尖透過像
と関連する場合としない場合がある。
<治療方針(Recommended Tx)>
根管治療(Re-RCT)

本症例は、術前デンタルX線写真より根管内における破折ファイル除去の有無をどのように判断す
るのかについて考えさせられる内容でした。
今回は診査・診断における結果までまとめました。
次回以降、引き続き症例解説をすすめていきたいと思います٩( ‘ω’ )و

『鞠躬尽力、死して後已まん』-諸葛孔明-
(きっきゅうじんりょくして、ししてのちやまん)
【ひたむきに己の全力を尽くし、死ぬまで止めない覚悟である】
この名言は謙虚さ、誠実さ、全力投球、後悔のない生き方、そして充実感を追求する精神を伝え
てくれる彼の卓越した哲学と人生観を示すものです。
「すべては患者様の笑顔のために」

医療法人社団徹心会ハートフル歯科