みなさんこんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮です

 

今回は歯牙移植症例集2024の第3弾をお送りしています

今回お送りする歯牙移植は埋伏歯を移植歯とする歯牙移植法です

 

今回の患者さんは30代の女性

左下の一番奥の歯が虫歯により保存できないとのことで悩まれている患者さんでした

 

萌出している親知らずがなく、リスクもお話した上で埋伏した親知らずを利用した

歯の移植を行う計画を立てました

まずは保存不可能な抜歯から行い抜歯後待機移植を試みます

まずは埋伏歯の脱臼からです。確実に移植歯が使えるという段階になってから移植床の形成に移ります

埋伏歯を覆う歯肉を切開し歯肉の剥離をして

手前の歯に引っかかっている親知らずの歯冠部分(歯の頭)を削合し

親知らずの脱臼を試みます

脱臼ができたら完全に抜歯は行いません

 

続いて移植床の形成を行います

移植する予定の部分をメスで切開し術野を確保します

続いて低速回転のインプラント用ドリルで自家骨採取を行いながら

移植床の形成をしていきます

ドリル切削→自家骨採取→次のドリルへ

ここまで終われば次は移植床の幅を整えます

先端の削れないドリルで横幅のみ削っていきます

注水下でドリル切削を行います

移植床の形成が終わればいよいよ移植処置です

脱臼しておいた埋伏歯を鉗子でつかみ慎重に抜歯します

抜けました

抜歯した移植歯を先ほど形成した移植床に試適します

ぴったりハマりました!

ぴったりハマればこれ以上の移植床の形成は不要です

一度試適した移植歯を取り出します

 

移植歯の植立の前に先ほど採取した自家骨を填入していきます

自家骨が入ることでより移植歯が安定するのと

術後の回復を早め歯周組織の再生、移植歯の生着を助けます

 

自家骨の填入が済めば

後は移植歯の植立です

移植床に戻したら

縫合により固定をしていきます

移植歯の高さがある場合

縫合固定のあと隣在歯に医療用接着剤で二重固定を行いますが

今回のように埋伏歯などで歯冠部分(歯の頭)を落としている場合は

縫合時に歯肉の中に収まってしまうことがあります

その場合は二重固定は不要でしっかりと縫合してしまえば

細菌感染を防ぐことができ、移植歯も安定するので緊密な縫合を心がけます

縫合した状態がこちらです

 

この状態で2週間ほど経過観察とします

この後の治療に関しては次回お話します

 

次回は術後編、抜糸から根管治療までをお話します

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科