転んで歯が変色…歯の神経はもうダメですか?─子どもの“前歯”を救う歯髄再生治療とは─
こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書いております。
【術前口腔内写真】
12才 女の子
左上1番
「子どもが転んで前歯をぶつけたんです。しばらくして、歯が変色してきました。」
ある日、小学生のお子さんを連れて来院されたお母様の言葉です。
学校や部活、日常の遊びの中で、子どもの歯の外傷は思いがけず起こります。特に前歯は顔を守るような位置にあるため、転倒や衝突で折れたり、神経が死んでしまったりすることが少なくありません…
親として一番心配なのはこういったことではないでしょうか?
「もう元通りにはならないの?」
「将来、歯を抜くことになったらどうしよう…」
「大人になる前から差し歯なんて、かわいそう」
私たちも、同じ想いで治療に向き合っています。
【術前レントゲン写真】
■ かつては「神経を取るしかない」が常識だった
外傷で神経(歯髄)が死んでしまった歯は、以前は“根管治療”といって、神経を取り除く処置が一般的でした。しかしこれは、歯の内部の生命力を失わせる治療でもあります。特に成長期の歯は、根の先がまだ完成していない「未完成根」の状態。神経を失うことで根の成長が止まり、歯がもろく、将来的に折れやすくなってしまうのです。
■ 外傷で起きる「神経の失活」
歯を強くぶつけたとき、内部の歯髄(神経や血管)がダメージを受けてしまうと、やがて歯の神経が“失活”して死んでしまうことがあります。
これは放っておくと感染が進行し、歯の根の周りに膿がたまることもあるため、感染した神経を取り除く治療(根管治療)が必要になります。
成長期の子どもの場合には、もうひとつ考えたいのが、「根の未完成」という状態です。
歯の根は、10代のうちはまだ発育途中のことが多く、途中で神経が失われると、根の成長が止まり、細く短いままになってしまうのです。これは将来、歯が折れやすくなったり、差し歯が長持ちしなかったりする原因にもなります。
■注目される「歯髄再生治療」
【不要歯の存在】
近年注目されているのが、歯髄再生治療です。
本治療では、壊死・感染した神経は一度キレイに取り除いたうえで、不要歯(歯の交換期における乳歯や矯正治療で抜歯対象となる歯、あるいは親知らずなど)から歯髄を取り出して培養したものを移植します。歯の内部に再生の土台をつくり、体の中の幹細胞や血液成分の力を借りて、新たな組織を誘導するというアプローチを取ります。つまり、神経を取ったままにせず、「歯の中を再び“生きた組織”で満たす」ことを目指します。
■ 当院での取り組みと実績
ハートフル歯科では、無菌的な処置を徹底し、大人から子どもまで歯髄再生治療に必要な条件を丁寧に整えながら行っております。歯髄再生治療においては、細菌の感染がコントロールできること、不要歯の存在などいくつかの条件を満たすことが必要になります。長時間の治療が難しい小さなお子さんは適応外になる可能性が高いですが、適応対象となるお子さんには積極的に再生治療をご提案しています。
すべての外傷歯に再生治療が適応できるわけではありませんが、年齢・根の状態・感染の程度などを総合的に判断しております。
■ 保護者の方へお伝えしたいこと
歯をぶつけてしまうことは、子どもにとって避けられない事故の一つ。
しかし、「神経が死んだら終わり」ではありません。
今は、子どもの成長と歯の将来を見据えた治療があります。
そして、その選択が10年後・20年後の笑顔に大きくつながっていくことでしょう!
「変色してきた」「違和感がある」
そんな小さなサインに、できるだけ早く気づいてあげて下さい!
私たちは、大切な歯を残すために、専門知識と最新の技術でサポートするようにスタッフ一同心がけております٩( ‘ω’ )و
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「すべては患者様の笑顔のために」
本山 直樹