【突然の激痛…その正体は“歯のヒビ”でした】クラックが引き起こす歯髄炎とは?
こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書いております。
ある日突然、ズキズキと襲ってくる激しい歯の痛み。
何もしていなくても、じっとしていても、「ズキン!ズキン!」と脈打つような痛みがやってくる。
「虫歯はないって言われたのに、なんで…?」
実はその痛みの原因、“歯のヒビ=クラック”かもしれません。
「冷たいものがしみるようになった」「噛むとズキンと痛い」でも見た目は何ともない…
そんな症状で来院される患者さんの中に、歯にヒビ(クラック)が入っている方が、実は少なくありません。
今回のテーマは、「クラック(歯のヒビ)」です。
歯に入った小さなヒビ(クラック)から始まる“歯髄炎”と呼ばれる神経の炎症についてお話します。
■ クラックは“目に見えないむし歯”のようなもの?
私たちの歯は、エナメル質→象牙質→歯髄(神経)という三層構造になっています。
このうち、外側のエナメル質に微細なヒビが入ると、そこから細菌や刺激物(冷たい水・甘いものなど)が内部にじわじわと侵入して、やがて歯の神経=歯髄に炎症を起こしてしまいます。
いわば「クラック」は、目に見えないむし歯のような存在。
特に以下のような方は注意が必要です。
• 歯ぎしり・食いしばりのクセがある
• 硬いものをよく噛む(氷・おせんべい・ナッツなど)
• 神経を取った歯に大きな被せ物が入っている
こうしたケースでは、見た目に異常がなくても、内部でひそかに進行し
ている可能性があるのです。
■むし歯ではないのに激痛?見逃されやすい「クラック」
歯に入る細かいヒビ=クラックは、パッと見ただけでは分かりにくいものです。
レントゲンでも映らず、痛みの訴えだけでは原因がはっきりしないことも多いと言われています。
でもこのクラック、実はむし歯以上に神経を攻撃する厄介な存在。
ヒビの隙間から細菌や刺激が歯の内部にじわじわ侵入して、気づかないうちに“歯髄(神経)”に炎症を起こしてしまうんです。
■ クラックから始まる歯髄炎の怖さとは?
クラックによって炎症が歯髄に広がると、いわゆる「歯髄炎」になります。
この状態になると、
• 冷たいものや熱いものが強くしみる
• 何もしていなくてもズキズキ痛む
• 夜間、痛みで目が覚める
上記のような強い自発痛が出ることもあります。
また、歯髄炎が進行すると、歯の神経を取らざるを得なくなるケースも少なくありません。
神経を取った歯は弱くなり、将来的な破折や抜歯のリスクも高まります。
だからこそ、私たちは「早期発見・早期治療」を大切にしています。
■ 実際にあったケース:夜も眠れない激痛
先日ご来院された30代の女性。
「昨日の夜から急に歯が痛くて、ロキソニンを飲んでも効かない」と顔をゆがめて来院されました。
診察してみると、虫歯は見当たりません。
ところが、マイクロスコープで細かく確認すると、どうでしょう…左上の一番奥の7番にクラックを発見。打診による反応もありました。
すでにその歯は、歯髄炎を起こしている状態でした。
このまま放置していたら、炎症がさらに進んで、歯の根の先まで膿が溜まる「根尖性歯周炎」へと移行する可能性もありました。
■ハートフル歯科が行う“クラック対応の精密根管治療”
当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)による拡大視野で、見逃されがちなクラックも精密に診断します。
当院では、クラックの診断において、
• マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)による拡大観察
• モニターに映された静止画や動画による歯の状態の説明
• 3Dレントゲン(CT)による破折線の有無や骨の変化の確認
などを組み合わせて、“見えないヒビ”を的確に見つけ出すことを目指しています。
さらに、クラックの進行度や歯髄炎の状態によって、
①クラックが深刻な場合
接着性レジンを用いた早期補修による歯を残す保存的アプローチ
②歯の神経を残すことができる場合
歯髄温存療法(MTAを用いた覆髄など)
③炎症が進行している場合
必要に応じた無菌×精密根管治療
このように歯をなるべく残す治療をご提案しています。
「激痛=抜歯」ではありません!
私たちは、「見逃さない、諦めない」をモットーに、“歯を守る”ために最後まで戦います。
■ 最後に:痛みは、歯からのサインです
歯の痛みには、必ず理由があります。
そしてクラックによる痛みは、見えづらく、でも深刻なサインです。
違和感を見逃さず、早めのチェックを!
「なんとなくしみる」「噛んだときだけ違和感がある」
そんな微妙な変化こそ、クラックの初期サインかもしれません。
症状が軽いうちなら、神経を残せる可能性も十分にあります。
歯の違和感に気づいたら、早めにご相談下さい。
ハートフル歯科では、患者さん一人ひとりの歯を“残す”ための治療にこだわっています。
「歯を残す」ための最終手段にもなりうる
クラックの深さが浅ければ、樹脂での補強や部分的な修復で済むこともあります。
しかし、神経に達してしまった場合は無菌×精密根管治療が、歯を救うための“最後の砦”となります。
当院では、
「できるだけ神経を残す」→「難しい場合でも抜歯を避ける」→「機能的に長く持たせる」
この3段階の方針で、一人ひとりの歯と向き合っています。
繰り返しになりますが、歯を残す可能性がある限り、専門医による精密な診断と、ラバーダムによる無菌的環境、顕微鏡を用いた拡大視野下における根管治療があなたの歯を守る大きな武器になります٩( ‘ω’ )و
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防止
「すべては患者様の笑顔のために」
本山 直樹