歯牙移植症例集2023④〜導入編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回から歯牙移植症例集2023④というテーマで歯牙移植の症例をお伝えしていければと思います。
今回は保険歯牙移植
当院で行う保険適応の歯牙移植の流れについてお話していきます。
患者さんは左上の銀歯が硬いものを噛んだらグラグラしてきたとのことで
ご来院いただいた30代の男性。
お口の中を確認すると一番奥の歯はすでに抜歯されており、
骨も痩せてきてしまっています。
今回の主訴の銀歯は写真のように銀歯から破折した歯根がズレて見えてきているのが
わかりますでしょうか?
銀歯の下で虫歯の再発が起こり、そこから弱くなった歯根に歯根破折が起こってしまったのだ
と考えられます。
残存する歯質の量や、一番奥の歯が既に欠損してしまっていることから咬合力も
かかってくる歯だと推測されるため、接着治療での保存は厳しいものがあります。
また患者さんも保険内での治療を望まれており、インプラント治療は適応になりません。
そうなるとブリッジもできない(一番奥に土台となる歯がないため)ので
残された選択肢は入れ歯しかなくなってしまいます。
遊離端と言われる一番奥を含めた欠損部位での入れ歯の場合、
入れ歯の安定を図るために大きな設計になったり、口蓋(上あご)を通って
反対側にバネをかけなければなりません。
患者さんにとって大きな口腔内の環境の変化となってしまいます。
使いづらくて使わなければ手前の歯に負担がかかってきてしまい、
最悪ドミノ倒しのように手前の歯までやられてしまいます。
歯科治療により起こりうる環境の変化を減らすことも歯科治療計画を立てる上では重要なことです。
今回は反対側の親知らずをこの保存不可能歯の場所へ移植する計画を立てました。
複根の二股に分かれた親知らずのため、生着率(成功率)等が
単根(丸みを帯びた単純な歯根)に比べ劣ることもお話した上で
是非歯牙移植をということでしたので、歯牙移植を進めていくこととなりました。
次回からは〜手術編〜
実際の移植手術をお話していきます。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・