歯牙移植症例集2023③〜手術編前編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回から歯牙移植症例集2023③というテーマで歯牙移植の症例をお伝えしております。
ルートセパレーション(歯根分離)をして悪くなった歯根をなんとか残そうと
被せ物を入れていたが、歯根破折により残った歯根に破折が起こってしまった50代女性。
なるべく歯を残したい、患者さんの強い希望により、
右上の埋伏した親知らずを移植する計画を立案しました。
前回のあらすじです
しかし頬側の骨が吸収しており、今のままでは真っ直ぐ移植歯を入れることができません。
移植後に移植歯は矯正できるというメリットを利用し、
骨のある舌側へ斜めに移植し、生着後に移植歯を矯正により起こす計画を立てました。
ここまでが前回の導入編の流れでした。
詳しくは前回のブログをご覧ください
今日は実際の手術編になります。
まず右上の親知らずの脱臼に入ります。
歯牙レプリカを使った歯牙移植の場合、従来法と異なり、移植歯へのアプローチより先に
移植床のアプローチを優先させますが、
今回の場合のように、埋伏した親知らずを移植歯として使う場合、
まず歯根膜に負担をかけずに抜歯ができるかの確認の意味も含めて移植歯の脱臼から行います。
ここで歯根が折れてしまったら移植中止となります。
先に移植床を形成してしまってから移植歯が折れてしまったら話にならないですからね。
ただし移植歯を完全に抜歯をしてしまうのではなく、
脱臼程度にしておくことで口腔外への摘出時間は抑えられ、
血流は保たれたままの状態にできるので、脱臼程度にしておくことはポイントです。
続いて移植床の形成に移ります。
保存不可能歯の抜歯を行ってからだと、歯肉の剥離が切れやすく難しくなるので、
先に移植床の歯肉弁を形成します。
メスで切開を行い、丁寧に剥離していきます。
その後、保存不可能歯の抜歯を行っていきますが、無理な力は禁物です。
慎重に慎重に愛護的な抜歯を行います。
抜歯ができたら移植床の形成をしていきます。
ここからは次回になります。
次回は〜手術編後編〜
実際の移植床の形成からお話していきます。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・