こんにちは。

ハートフル歯科のドクターM

本山です。

今回は、「歯軋りによる歯根破折」です。

先日、以前からずーっと左上6番に痛みや違和感を訴えている患者様が再度来院されました。

患者様と相談の上、患歯における決定的な原因が不明なため経過観察を行っていたのですが、

最近になって再び同様の症状が強く現れてきたということで連絡を受けました。

左上6番の現在の状態を確認するために、レントゲン写真を撮らせていただきました。

8ヶ月前です。

1年5ヶ月前です。

すると、以前にははっきりと分からなかったのですが、歯根が破折している状態を確認することができました。元々、左上6番は神経も生きており、セラミックインレーと呼ばれる詰め物が入っていたのですが、すり減りとチッピングが少々認められていたので、夜間に使用する歯軋りを防止するナイトガードと呼ばれるマウスピースを作製して装着してもらうように指示していました。患者様もその趣旨をご理解しており、夜間のマウスピースを装着することを遵守していたそうです。今思えば、以前に症状が現れた時には、レントゲンでは確認できないような小さな亀裂が既に歯根に入っていたのではないかと推察されます。この患者様の場合には、神経治療がされているような脆弱な歯であったわけでもないですが、このような結果になってしまったことに無力感を感じると同時に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました(泣)

歯が悪くなったり失ったりするのは、虫歯や歯周病だけが原因ではありません。
歯にかかる異常な咬合力も歯を悪くする原因ということなのです。

物事に集中していたり、仕事や考え事をしている時など、無意識に上下の歯を噛み合わせていることありますよね?歯を構造物として捉えれば、当然力がかかれば応力が生じますし、それが日常的に長時間起こり蓄積すれば、だんだんとひずみが溜まり、限界を超えれば最後には破折という破壊現象が起こることは容易に想像できます。

初見で患者様の口腔内を診た時に、歯軋りが強い方の口腔内は全体的に歯のエナメル質が摩耗して象牙質が露出している傾向にあります。もしくは詰め物や被せ物がとてもすり減っています。特徴的な口腔内の状態ですが、割と多く目にすることがあります。

次回は、この歯を傷めてしまう歯軋りや食いしばりといったブラキシズムについて、もう少し詳しくお話しさせていただきたいと思います。

今日も一日頑張りましょう!

“すべては患者様の笑顔のために”

今後ともよろしくお願い致します。

本山 直樹

医療法人社団徹心会ハートフル歯科