マイクロスコープとCBCT④
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、マイクロスコープとCBCTの第4回ですね♪( ´▽`)
マイクロスコープに引き続き、CBCTの問題点についても考えてみましょう。
CBCT検査の問題点は何だろうか??
いろいろ考えてみました。
マイクロスコープから得られる情報はリアルタイムでその時に視たものが更新されるのに対して、
CBCT による画像情報はあくまでも撮像時のものであるということ。
当たり前と言えばその通りなのですが、CBCT 検査の情報が古い場合には根尖病変が認められる症例では、
その進行や治癒によって患歯や根尖歯周組織に変化が生じます。
時系列で見た症例です。
43才 女性 左上7番
口蓋側の歯肉に膿の袋が出現したということで来院。
痛みなどの自覚症状はありませんでした。
通常のレントゲン確認後、患者様の同意を得てCT撮影を行いました。
根尖に黒い影が見えます。
口蓋側のみ骨吸収が見られます。
歯根破折を疑いながら、この段階で再根管治療を試みました。
歯根破折はマイクロスコープによる視認がベストです。
マイクロスコープにて根管内を視認しましたが、破折線のようなものは見受けられませんでした。
そのため、根管内の根管充填材を除去して、根管内の清掃と消毒を行いました。
治療開始と同時にすぐに歯肉にできていた膿の袋は消失しました。
その後、根管充填を行いセラミック治療まで終了し、継続してメインテナンスにて経過観察を行っておりました。
ところが、それから9ヶ月が経ち再び歯肉に膿の袋が出現したため、再度CT撮影を行いました。
黒い影が大きくなっていることが分かります。
一つ上の画像を見ると、口蓋側方向に破折線らしきものが見えるような気がします。
口蓋側の骨が溶けて骨の連続性が保たれていません。
骨吸収の範囲が広がっていることが分かります。
限局的に歯周ポケットも深く、CT撮影より総合的に判断して結果として「歯根破折」という診断をしました。
マイクロスコープにて前回確認した時には、内面に破折線はありませんでしたが、
もしかしたら外面に破折があったのではと推測しました。
まとめていきますと、2回のCT画像を比較することで、外側性もしくは根先側からの歯根破折と診断しました。
マイクロスコープやCTを一回使えば全て診断できるというわけではないことを御理解いただければと思います。
時間的な部分も含めて総合的に診断することも大切なことであると言えます。
話を戻します。
次に考えられる問題点です。
これが一番ネックかもしれません。
金 属や根管充塡材などにより撮像時にアーチファクトが出現するため、
再根管治療を施す場合には根管充塡材まで取り除いた後に撮像する必要があるという点です。
それでは、両者の長所も短所も理解した上でマイクロスコープとCBCTの併用がもたらす効果について
まとめていきたいと思います。
CBCT 検査では、マイクロスコープでは観察できない湾曲部より先の破折ファイルや穿孔まで確認することができますよね。CBCT による画像診断結果を参考にマイクロスコープ下で根管治療を行うことで、 歯根や根管数、 破折ファイルの位置、歯根の内部・外部吸収の診断、歯内歯の診断、根尖病変の大きさ、外科的根管治療前の解剖学的検査などに有効です。
つまり、歯の地図ですよね♪( ´θ`)
両者の併用によって治療精度が一段と向上することは自明の理と言えます。
相乗効果がお互いの欠点を補って、それぞれの長所を最大限に活かすことができる最高の武器なのです!
今やマイクロスコープもCBCTも必要不可欠であり、存在しない状況下で治療を行うことはできません。
卒後間もない頃が懐かしく感じます。
今なら昔の自分に言えます!
見えないと分からないよ(笑)
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹