矯正のための抜歯 便宜抜歯について③実際の抜歯症例(2)
こんにちわ!ハートフル総合歯科グループ 歯科医師 小坂井竜也です。
前回までは矯正における抜歯の必要性のお話しをさせていただき、実際に抜歯依頼で紹介状を持ってきていただいた患者さんの症例をお話ししています。
そして、親知らずの場合の抜き方の違いをお話ししていきました。
今回は、このケースではセパレートゴムが抜歯相当部位に挿入されており、その利点からお話ししていきます。
通常、矯正前の便宜抜歯であれば基本的にはこのゴムが挿入されている部分のスペースを作るために、抜歯する歯に対して削っていきます。
これは、鉗子で抜いていく際、抜歯をする上顎第一小臼歯(八重歯の隣)が根っこが細く長買ったり、根っこが2本ある場合において、ただ前後に歯を揺らしていくだけでは、なかなか抜けないだけでなく、根っこが折れてしまう場合があります。
この部分で根っこだけ折れてしまうと、なかなか厄介で、場合によっては歯肉を切開したりしなくてはならない場合もあります。
そうならないためにも、歯を揺らしていく際には前後だけではなく、左右またはひねりを加えてゆっくり動かしていきます。
この3次元的な動きを加え、歯の脱臼するためのスペースを広げていくことによって、安全に抜くことが可能になり、また、隣の歯に対して不用意なダメージを与える可能性を防ぎます。
そしてこのケースは、抜歯相当部の歯も削らず、またセパレートゴムによって少々歯に動きが生じているのでさらに抜きやすくなります!
では実際に抜いていきましょう!
前後左右にゆっくり揺らします。また、しっかりひねり回転を加えていきました!
無事に抜けました!
根っこも2本あり、さらに細いため本当に折れなくてよかったです・・・!
これも、しっかりセパレートゴムが入っていたおかげでもあると思います。
また、ワイヤーも外れず一安心でした。。。
この後は血が止まっているのを確認し、今回は糸を縫わずに処置は終了させていただきました。
術後は感染防止のために抗生物質を、痛み止めも出させていただき、次回は反対側の歯を抜いていきます。
今回の症例はこれで終わりになりますが、しっかり手順を踏んでいき抜歯を行えば危険なことはありません。(どうしても抜けない場合は先にヘーベルで脱臼する場合もあります。)
これから矯正において便宜抜歯を行う方に向けて、参考になれば良いと思い、この記事を書かせていただきました!
全ては患者さんのために!