防湿を極めることの大切さについて
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
皆様、お口の中は湿度が高いということをご存知でしょうか?
今回は、接着修復における防湿の大切さについて書いていきたいと思います。
修復処置を行う前の象牙質窩洞に唾液が付着した場合、水洗をしっかり行っても唾液タンパク質が除去できず、接着操作におけるボンディング材の接着力を著しく低下させてしまうと言われています。そのため、舌や唾液を排除するためにラバーダムや多機能バキュームチップZOOを活用することが有効であることは以前から繰り返し伝えてきました。もしくは、同じ目的として唾液腺開口部付近にコットンロールを設置することでも対応している歯科医院もあるかと思います。
しかし、コットンロールによる簡易防湿法では口腔内湿度は全くコントロールされず、高湿度環境のままであったことが報告されています。つまり、コットンロールによる簡易防湿処置では舌や唾液が修復部分に直接触れないようにしているだけであって、そのことは防湿としての効果はないということに注意しなければなりません。
防湿には、ラバーダムやZOOが有効であることは間違いありません。
口腔内の相対湿度を可及的に室内の温度と同程度まで低くコントロールできることも報告されており、その有効性に疑いの余地はありません。
接着修復において、一番注意しなければならないことは口腔内の湿気ということなのです。
温度計と湿度計を用いて口腔内の温度と相対湿度を測定した報告によると、適切な防湿処置を行なっていない口腔内の相対湿度は78~94%にまで達するとのことです。
窓ガラスに単純に風をかけてもくもらないですが、ハーっと息をかけるとガラスがくもる理由は呼気に水分が多く含まれており、またガラスと呼気の温度差があるためなのです。
呼気に含まれる湿気は修復における接着を阻害してしまいます。
ここで誤解がないようにお伝えしておきますが、ラバーダム防湿を全ての患者様に適用することは難しいこともあります。それは患者様の口腔内の状況によると思いますが、開口量が少ない方、嘔吐反射の強い方は、難しいケースが多いと感じています。当院ではバキュームを利用した防湿装置ZOOを併用することがあります。ラバーダム防湿法に近い防湿効果があり、舌や頬粘膜の圧排としての機能も兼ね備えています。
もちろん、それでも困難なケースもありますことをご了承下さい。
正しい知識と正しい医療が、当たり前ですが必要であり、
患者様が望まれていることであると思って、日々の診療を行なっています。
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹